2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神科疾患におけるSPM99を用いた拡散テンソル解析
Project/Area Number |
15591259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 晴耕 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70359610)
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80322056)
青木 茂樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80222470)
大友 邦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80126010)
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Keywords | magnetic resonance imaging / diffusion tensor / amyotrophic lateral sclerosis / posttraumatic stress disorder / statisical parametric mapping / diffusion tensor tractography |
Research Abstract |
<目的>解析者や仮説に依存せずに全脳を客観的に評価可能なSPM(statistical parametric mapping)を用いて、精神科疾患を含めた各種疾患における拡散テンソル画像の解析を行う。我々は前年度筋萎縮性側索硬化症(ALS)症例において、SPM99を用いて(1)皮質脊髄路における拡散異方性が低下する(2)拡散テンソルトラクトグラフィーの手法を用いて前記拡散異方性低下部位が皮質脊髄路に一致することを示した。これにより妥当性が確立されたと考えられるSPM解析手法を用いて、今年度は95年に発生した地下鉄サリン被害者における心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対して検討を加えた。 <対象と方法>地下鉄サリン被害者から36名を抽出し、熟練精神科医が診断したPTSD症例9例、年齢および性別を合致させた非PTSD16名を対象とした。解析の対象となるfractional anisotropy (FA)画像がSPM99中のtemplateに依存しないため、全例25名からFA templateを作成し、これに対して各FA画像を空間的正規化した。さらに年齢、性別を共変量として、corrected P < 0.05のボクセルを有するclusterを有意とした。またこれまでPTSD症例において報告されている前部帯状回、両側海馬に対してはsmall volume correctionを適応した。通常のSPM解析では変化部位の絶対値が計測できないために、Deformation Toolboxを用いて有意差が得られた関心領域のFA値を各症例のnative space上で計測し、PTSD症例の重篤度を示すCAPSスコアとの相関解析も行った。 <結果>左前部帯状束において有意なFA上昇が見られ、この部位は以前に我々が報告した灰白質体積減少部位直下に存在した。また関心領域法ではPTSD9症例のCAPSスコアとFA値が弱い正の相関を示した。 <結語>左前部帯状回における体積減少ばかりでなく、その近傍の帯状束におけるFA値変化およびPTSD重篤度との相関は、PTSD発症機序としての前部帯状回および帯状束の重要度を示す、さらなるエビデンスとなると考えられた。
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Research Products
(5 results)