2005 Fiscal Year Annual Research Report
精神科疾患におけるSPM99を用いた拡散テンソル解析
Project/Area Number |
15591259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 晴耕 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70359610)
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80322056)
青木 茂樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80222470)
大友 邦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80126010)
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 拡散テンソル / 筋萎縮性側索硬化症 / 生理的加齢 / 心的外傷後ストレス障害 / statistical parametric mapping / 拡散テンソルトラクトグラフィ |
Research Abstract |
脳内の拡散環境を非侵襲的に評価することが可能である拡散テンソル画像(DTI)のこれまで評価には(1)解剖学的構築の歪み(特に頭蓋底、後頭蓋窩)(2)関心領域(ROI)法の限界(設定者により描かれたROIが異なる、同じ設定者におけるROI設定の再現性、仮説に基づくROIしか測定できない)など数々の問題点が存在した。この問題を克服するために、statistical parametric mapping (SPM)を用いて観測者によらずに全脳を解析する手法を確立し、これまでDTIに関する定見が得られている生理的加齢変化および筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)において手法の妥当性を検証した後、心的外傷後ストレス症候群(posttraumatic stress disorder : PTSD)症例に本手法を適応した。まず生理的加齢変化に関する検討では前頭葉優位の広範な白質における拡散異方性(fractional anisotropy : FA)低下、島をはじめとする大脳皮質及び側脳室周囲白質における平均拡散能(mean diffusivity : MD)上昇を認め、ALS症例ではFAの低下部位が、拡散テンソルtractographyで構築された両側錐体路を解剖学的に標準化したボクセル群に一致することを報告し、既存の報告と合致することを確認した。同様な手法をPTSD症例に適応し、以前にわれわれのグループから容積低下が報告されている帯状回直下の帯状束においてFAが上昇していることを見いだした。これはPTSD発症機序としての前部帯状回および帯状束の重要性を示す、さらなるエビデンスとなると考えられた。さらに機能的MRIの手法を用いたPTSD研究では帯状回における機能低下のために、情動・感情を制御する神経回路網の一部である扁桃体の代償性易興奮性が報告されており、この研究で示されたFA上昇は帯状束の機能低下を補うために神経線維統合が再構築された可能性を示すものと考えられた。
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Research Products
(2 results)