2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しいMR用造影剤マンガンポルフィリンの再灌流後心筋梗塞壊死巣への集積の評価
Project/Area Number |
15591264
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹原 康雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (70188217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 聡 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20311706)
那須 初子 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70334985)
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
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Keywords | マンガン / 金属ポルフィリン / MRI / 造影剤 / 心筋血流 / 壊死 / 心筋梗塞 / ラット |
Research Abstract |
SDラットを人工呼吸下で開胸、左冠動脈にスネアループをかけ、90分間閉塞し、30分間再灌流させる心筋梗塞再灌流モデルを作製。まず、予備実験として、2匹の同モデルを用いて、一匹にはGd-DTPAを投与してから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間でT1強調画像をin-vivoで撮影した。もう一匹には新しいマンガンポルフィリン造影剤HOP-9Pを投与して同様のtime-tableで撮影を行った。その結果、Gd-DTPAによる梗塞巣の濃染は30分後をピークに時間とともに低下してゆき、5時間後では極めて不明瞭となり、しかも濃染範囲も撮像時間により大きく異なったのに対し、HOP-9Pでは、5時間後まで安定した梗塞巣の濃染が見られた。本実験として、Gd-DTPA(0.05mmol/kg)を投与したもの4匹とHOP-9P(0.05mmol/kg)を投与したもの4匹で(造影剤の投与は尾静脈からとした)、投与後5時間にて撮影を行い、撮影後、心臓を摘出、3mm厚で4から5断面にスライスして、TTC染色を施し、染色されなかった部位を壊死心筋の範囲とし、染色された部位をviableな心筋の範囲と決定し、デジタルカメラにて記録し、その面積を計測、面積比を算出した。Gd-DTPA群とHOP-9P群とで、TTC染色結果を参考に心筋梗塞巣とviableな心筋とに関心領域を設定し、平均信号強度を計測、その比を両群で比較した。その結果、信号強度比はGd-DTPA群では1.1±0.29で、HOP-9P群では2.0±0.44でHOP-9P群が有意に優れたコントラストを示した。TTC染色によって決定した壊死領域の面積割合(%)と画像上のそれとの比較では、HOP-9P群で両者に良好な相関がみられたが(r=O.97,p<0.0001,n=18)、Gd-DTPA群では濃染範囲は不明瞭であり、境界を決定することが困難で、TTC染色で示された実際の範囲を反映することはできなかった。本実験で、HOP-9Pの組織分布がGd-DTPAの分布に見られるような、非特異的な分子拡散とは異なる、(壊死)特異的な集積であることが示唆され、その染まりは長時間にわたり安定であることが示された。マンガンポルフィリン造影剤HOP-9Pを用いて、壊死心筋の範囲が正確に特定できる可能性が示唆された。
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