2003 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素標識チミジン誘導体を用いたポジトロン断層法による悪性腫瘍の治療効果判定
Project/Area Number |
15591269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐賀 恒夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40273445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向 高弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (30284706)
大屋 夏生 京都大学, 医学研究科, 講師 (70281095)
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Keywords | 脳腫瘍 / 悪性度診断 / 治療効果判定 / ポジトロン断層法 / フッ素標識チミジン誘導体 |
Research Abstract |
まずマウスにおけるフッ素標識チミジン誘導体(FLT)の分布の検討を行った。担癌マウスにFLTを投与して1時間後の体内分布を検討したところ、移植腫瘍への高い集積が認められた。次いで、正常マウスとT cellの欠損したヌードマウスにおけるFLTの分布に対するコンカナバリンA(Con A)の影響を検討したところ、正常マウスでのみCon A投与によってFLTの脾臓への集積が有意に増加し、Con Aによって活性化されたリンパ球(T cell)にもFLTが取り込まれることが示唆された。 健常人では、FLTは肝臓、骨髄、尿路に高集積を示したが、脳や縦隔への集積は非常に低く、脳腫瘍、肺・縦隔・食道腫瘍の評価に有用と考えられた。初年度は、倫理委員会の承認を得て、脳腫瘍を中心とする臨床的検討を行った。FLT約370MBqを静脈内投与し、40分後より頭部のポジトロン断層像を撮像(エミッション20分、トランスミッション3分)、病巣への集積値(SUV)を測定した。FLTの正常脳への集積は非常に低く(SUV=0.3程度)、病変との良好なコントラストが得られた。原発性脳腫瘍への集積は組織学的悪性度を反映し(SUV=0.31〜9.89)、増殖能の指標であるMIB-1やKi-67 indexの高い腫瘍でSUVが高い傾向が見られた。しかし、術後の創部や肉芽組織にもFLTの集積が見られ、術後・放射線治療後の症例の評価には注意が必要と思われた。経過観察を行った症例では、治療中または治療後早期に腫瘍のSUVが低下し、治療効果判定の可能性も示唆された。転移性脳腫瘍への集積性も高く(SUV=0.9〜8.33)、小さな転移巣も明瞭に描出された。 次年度は、脳腫瘍症例を追加すると共に、胸部疾患での検討も行う予定である。さらに、治療効果判定に向けてのマウスでの実験的検討を行いたい。
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