2004 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素標識チミジン誘導体を用いたポジトロン断層法による悪性腫瘍の治療効果判定
Project/Area Number |
15591269
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐賀 恒夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40273445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大屋 夏生 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70281095)
河嶋 秀和 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359438)
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Keywords | 脳腫瘍 / 悪性度診断 / 治療効果判定 / ポジトロン断層法 / フッ素標識チミジン誘導体 |
Research Abstract |
本年度は、脳腫瘍での症例を追加するとともに、肺癌、膵癌症例での初期臨床検討を行った。前年度から21症例の追加となり、計40症例、53回の検査を行った。研究内容を文書にて説明し、同意を得た被検者にFLT約370MBqを静脈内投与、脳腫瘍の場合は40分後より頭部の撮像(エミッションスキャン20分、トランスミッションスキャン3分)を、躯幹部腫瘍の場合は50分後より躯幹部の撮像(エミッションスキャン3分x5〜6フレーム、トランスミッションスキャン1分x5〜6フレーム)を行った。病巣に関心領域を設定し、集積の半定量値(SUV)を測定、病理診断と比較した。治療前後で撮像した症例では、治療に伴うSUV値の変化を検討した。 原発性脳腫瘍の疑われた症例では、グリオーマの悪性度(grade)が増すにつれてSUVが高値を示し、前年度の結果を裏付けるものであった。脳原発の悪性リンパ腫は悪性のグリオーマ(グリオブラストーマ)と同程度のSUVを示した。細胞増殖のマーカー(MIB-1 index)の発現が検討可能であった症例では、SUV値とMIB-1 indexの間に正の相関が認められた。 脳腫瘍の再発が疑われた症例では、悪性転化した再発病巣を検出可能であったが、一方、肉芽腫や悪性度の低い再発腫瘍の中にも高集積を示すものがあり、以前に治療を行った症例の評価には注意が必要と考えられた。 躯幹部腫瘍では、肺癌3症例、膵癌2症例を対象に検討したが、いずれも腫瘍は陽性に描出された。しかし、膵癌症例では、近傍の腸管への生理的集積が強く、同時に施行したFDG-PETに比し、病巣のコントラストが不良であった。 治療効果判定は9症例(脳腫瘍6例、肺癌1例、膵癌2例)で検討した。元々集積の低かった脳悪性リンパ腫の2例を除いて、治療中または治療終了後早期にFLTの集積は低下し、治療後早期の効果判定に有用であると考えられた。
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