2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高速MRIを用いた肝血流MRイメージングによる局所肝血流の動態評価
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15591278
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
伊東 克能 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00274168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 岳史 山口大学, 医学部, 助手 (50335733)
松永 尚文 山口大学, 医学部, 教授 (40157334)
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Keywords | trueFISP / 門脈 / 血流分布 / コロナ様濃染 / パフュージョン / サブトラクション |
Research Abstract |
trueFISP法を用いた非造影MRAでは、上腸間膜静脈、脾静脈に選択的なinversion recovery (IR) tagging pulseを印加することにより、上腸間膜静脈、脾静脈それぞれからの血流信号を抑制し、これにより門脈内に流入した静脈血流は低信号に描出され、その分布域が判定可能であった。特に門脈正接像のtrueFISP非造影MRAを撮像することにより、それに選択的IR tagging pulseを印加することで、3次元的な門脈内血流の評価が可能で、正常ボランティアにおける検討では、門脈正接像において、上腸間膜静脈、脾静脈血流は、半数では層流を形成していたが、残りの約半数では渦状流を形成しているのが確認された。従来の3D-FSE法では冠状断像での2次元的評価しかできないが、trueFISP法を用いることにより、空間分解能、コントラスト分解能が向上し、より詳細な評価が可能であった。食事前後の変化では、食前では門脈内血流は脾静脈血流が優位であったのが、食後では上腸間膜静脈が優位となる傾向があることが示された。また慢性肝炎や肝硬変が進み、脾静脈血流が増加するにしたがって、門脈内で渦状流を形成するものがみられた。渦状流の形成には上腸間膜静脈、脾静脈合流部の形態によっても大きく影響され、脾静脈が腹側あるいは背側から大きく回り込んで上腸間膜静脈に合流するタイプでは渦状流を形成する場合が多いと思われる。またtrueFISP法を用いた非造影MRAでは1秒以下の高速連続撮像が可能であるため、門脈内、肝内血流分布域を経時的な動態変化として観察できる。同一断面での連続撮像を行うことにより、上腸間膜静脈、脾静脈血流は、一定の分布を示す層流として門脈内を流れているのではなく、上下に変動、動揺しながら、流れていることが確認された。これは腸管蠕動や心拍出の影響を受けていることが推察された。 造影剤急速静注後の全肝3-5秒スキャンを連続的に繰り返す多動脈相、門脈相ダイナミックMRIによる肝血流パフュージョン画像では、肝結節性病変の結節内血行動態評価に有用な所見が得られた。多血性肝細胞癌では早期濃染に引き続くrapid central washoutと結節周囲のコロナ様濃染が認められたが、早期濃染偽腫瘍の場合にはこのような所見は認められず、両者の鑑別に特異的な所見と考えられた。また位置ずれのない多相画像が得られるのでサブトラクションすることによりわずかな濃度差も検出することが可能であった。
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Research Products
(2 results)