2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591286
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松田 尚樹 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 誠 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60175213)
森田 直子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教務職員 (90380972)
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Keywords | 癌転移 / 細胞運動性 / FAK / ラミニン / 細胞外マトリックス / インテグリン / 放射線照射 / ERK |
Research Abstract |
昨年度までに、神経膠芽腫細胞株であるA172細胞に対するX線3Gy照射が、Laminin(LN)に対する細胞の運動性(照射24時間の遊走細胞数)を促進し、さらにLNに対する細胞接着分子であるIntegrin αVβ1の発現を増加させることを明らかにした。今年度は、このIntegrinからの細胞内シグナルの流れを、Focal adhesion kinase(FAK)、paxillin(PAX)及びExtracellular signal-related kinase(ERK)に着目して検討した。 浮遊状態のA172細胞にX線3Gyを照射し、LNコートした基質上に播種したところ、細胞と基質の焦点接着部位におけるFAKリン酸化が播種2時間後において検出されたのに対し、未照射の細胞では播種6時間後においてもFAKリン酸化は観察されず、24時間後にいたって照射細胞と同程度のリン酸化が見られた。焦点接着部位に局在するPAXのリン酸化もFAKと同様に検出された。また、FAKの下流分子の一つであるERKのリン酸化も、播種2時間後において確認された。一方、播種後の細胞付着率にはX線照射、非照射細胞間で差が見られなかった。これらの結果は、X線照射を受けたA172細胞では基質との付着性に変化は起こらないものの、付着後の初期反応、すなわち焦点接着部位からERKに至るシグナル伝達が活性化されていることを示す。昨年度に明らかにしたIntegrinの発現増加にX線照射後48時間が必要であったこと、また、LN上で48時間以上培養したA172細胞が凝集体を形成したことを合わせると、X線照射後のA172細胞では、早期応答(2時間)として焦点接着部位からのシグナル活性化が生じ、細胞運動性を含む細胞機能が変化し(24時間)、それに続いて細胞の接着基質に対する応答性と細胞の存在形態が変化する(48時間)ものと考えられる。
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Research Products
(3 results)