2004 Fiscal Year Annual Research Report
梗塞後リモデリング心の心筋酸素、脂肪酸、糖代謝からみた病態と循環薬剤作用機序
Project/Area Number |
15591293
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大手 信之 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10185332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 淳子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10145740)
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Keywords | 心筋酸素代謝 / 心筋脂肪酸代謝 / C-11-acetate / C-11-palmitate / 心筋梗塞 / 左室リモデリング |
Research Abstract |
急性心筋梗塞症において、発症後亜急性期から慢性期にかけて左室健常(非梗塞)部心筋にリモデリング(遠心性拡大と壁肥厚)が生じ、患者の生命予後の悪化に関係することが知られている。そこで、左室リモデリングが、どのようなメカニズムで梗塞心の慢性期予後を悪化させるのか、その病態をポジトロントレーサーとしてC-11-acetate,C-11-palmitateを用い、心筋のエネルギー代謝の面から検討した。 心筋梗塞慢性期14例において、C-11-acetateの初期分布から局所血流を算出し、対応した部位の心筋脂肪酸代謝、酸素代謝、壁運動と比較した。壁運動と心筋酸素代謝には密接な関係が認められ、壁運動が良好な領域ほど、心筋酸素代謝の指標Kmonoが高値であった。また、局所心筋血流と酸素代謝Kmonoにはr=0.54(p<0.001)の正相関が認められた。さらに、心筋脂肪酸代謝の良好な領域では、酸素代謝、左室壁運動が維持されており、左室機能の維持に心筋脂肪酸代謝の重要な役割が示唆された。脂肪酸代謝が不良な領域において、左室壁運動が低収縮な領域と無収縮な領域が認められたが、前者では、ぶどう糖が脂肪酸に代わって心筋のエネルギー源として重要な役割を果たしている可能性が示された。 現在、さらに同様の心筋梗塞慢性期患者を対象に、リモデリング心筋の酸素代謝について、糖尿病患者と非糖尿病患者間で検討しており、梗塞患者が心不全を発症するメカニズムを心筋代謝の面から解明を試みつつある。
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