2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射におけるMetallic Stent近傍の線量擾乱と測定法に関する研究
Project/Area Number |
15591296
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉村 均 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60167012)
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Keywords | 高エネルギーX線照射 / メタリックステント / 線量擾乱 / 線量測定 / TLシート / TLD / 2次元読取りシステム / CCDカメラ |
Research Abstract |
本年度は、食道・気管用Metallic Stent (MS)について腔内照射、血管用(下肢動脈、心冠状動脈)MSについて外部照射と腔内照射によるMS近傍の線量擾乱について測定した。線量測定には、冷却CCDカメラを用いた二次元読取りシステムによりMSの境界面線量を連続した画像として描出でき、マイクロドジメトリに適しているTLシートを用いた。食道・気管用MS(Spiral Z (SZ);ステンレス鋼、Ultra Flex;ナイチノール)、下肢動脈用MS(Wall;コバルトアロイ、Palmaz;ステンレス鋼)、冠状動脈用MS(Velocity;ステンレス鋼)を用い、外部照射は10MVX線により、MSにTLシートを密着させて水ファントム中5cm深で一方向から6Gy照射した。腔内照射は^<192>Ir-HDRを用い、アプリケータ径(食道・気管用17mm、下肢動脈用10mm)の中央に線源を位置させ、MSにTLシートを密着させて線源からMS外側表面で6Gy照射した。照射されたTLシートを冷却CCDカメラを用いた二次元読取り装置で画像として読取り、MSのワイア部と非ワイア部のCCD値より両者の線量の増減を相対値として計測した。低レベルの散乱線測定を可能にするために、照射は各々5回以上行い、複数の画像を重ね合わせるComposite法(画像処理ソフト;Adobe Photoshop CS, Stella Image)により測定した。その結果、後方散乱では、Palmazは3.2%の線量増加があり、Wall、Velocityは測定不能で、吸収ではそれぞれ3.4%、3.1%、2.2%の線量減少がみられた。一方、腔内照射は吸収でSZは8.7%、Ultra Flexは1.8%、Wallは2.4%の線量減少がみられた。以上から、高エネルギーX線照射によるMSの線量擾乱は、腔内照射で約2〜9%の線量減少、血管用MSに対する外部照射では約2〜3%の増減で、何れも表面に限局しており、臨床的に問題にならないことが示唆された。
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