2003 Fiscal Year Annual Research Report
下肢静脈瘤に対するインターベンション血管閉塞療法の基礎的検討と臨床応用法の確立
Project/Area Number |
15591306
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
保坂 純郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (90229162)
|
Keywords | 下肢静脈瘤 / レーザー治療 / インターベンション / 大伏在静脈 / 日帰り手術 |
Research Abstract |
下肢静脈瘤に対するインターベンション血管閉塞療法の基礎的検討を行った。目的は血管内レーザー照射による静脈閉塞法の効果と安全性を、放射線学的、病理学的にin vivoにおいて検討することで、対象として豚7頭(体重40kg)を用いた(内1頭はpilot)。初めの3頭では、一側の腹壁静脈を露出し、カテーテルおよびレーザーファイバーを挿入、横隔膜レベルから挿入部までレーザー照射を行った(810-nm diode laser、15W、1秒間照射、1cm間隔)。対側は照射以外の全ての操作を行い対照群とした。実験中は頻回の血圧測定、動脈血酸素分圧測定を行い、照射前後に腹壁静脈、肺動脈の造影を行った。終了後は屠殺し静脈を病理学的に検討した。次の3頭では、一側の腹壁静脈に照射を施行、2週間飼育後に腹壁静脈、肺動脈の造影を行った後に屠殺し、静脈の病理学的検討を行った。結果は、初めの3頭では、照射直後に腹壁静脈は閉塞した。実験中に明らかな血圧、動脈血酸素分圧の変動は見られず、照射後に明らかな肺塞栓は認めなかった。病理学的には血管壁の欠損と変性、血管周囲の浮腫、血管内の血栓による占拠が見られた。次の3頭では、照射直後に腹壁静脈は閉塞、2週間後まで全例生存した。2週間後の造影検査で1例に腹壁静脈の細い再開通が見られたが、肺塞栓は認めなかった。病理学的には、血管内腔の閉塞と器質化、肉芽組織から線維性結合組織への置換、一部で毛細血管による再疎通像、血管壁の弾性繊維欠損と平滑筋組織の減少が見られた。結論として、静脈内レーザー照射によって内腔は直ちに閉塞し、明らかな副作用も無く有用と思われたが、毛細血管による再疎通を阻止する工夫も必要と思われた。この研究成果は平成16年5月米国AJR学会、同6月日本静脈学会にて発表予定する。今後はより臨床に類似させた動物実験として、照射後に弾性包帯で圧迫し2ケ月程度の長期観察を行い、臨床応用を進めてゆく。
|
Research Products
(2 results)