2003 Fiscal Year Annual Research Report
同種移植後拒絶反応のメカニズム解明とその抑制に関する研究
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15591328
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 徹 群馬大学, 医学部, 助手 (20292584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 進 群馬大学, 医学部, 講師 (90241877)
森下 靖雄 群馬大学, 医学部, 教授 (40145470)
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Keywords | 心臓移植 / 虚血再灌流障害 / サイトカイン |
Research Abstract |
虚血再灌流傷害は心臓移植後の心機能を左右する要因の一つとして重要であり,tumor necrosis factor (TNF)-αやinterleukin(IL)-1β等のproinflamamtory cytokineは虚血再灌流傷害において重要な役割を担う.我々は,ドナー心の長時間保存中にこれらのサイトカイン産生抑制が,移植後のドナー心機能を改善するか否かについて検討した.実験には10-15kgの雑種犬を用いた.GIK液で心停止を得,University of Wisconsin(UW)液で冠血管床をwash out後ドナー心を摘出した.群馬大学式臓器保存装置(単純浸漬法に底流量持続冠灌流法を組み合わせたもの)でドナー心を12時間保存した.実験群をFR167653(TNF-αおよびIL-1β産生抑制剤)投与(FR)群(n=6)とコントロール(C)群(n=7)の2群に分けた.両群とも4℃のUW液に浸漬した状態で,FR群には20mg/LのFR167653を添加した4℃のUW液で冠灌流を行い,C群は4℃のUW液のみで冠灌流を行った.体外循環下に同所性移植を行い,移植後2,3時間の循環動態を右房圧10mmHg,5μg/kg/minのdopamine投与下に測定し,心摘出前値に対する変化率を2群間で比較検討した.再灌流後2時間の心拍出量(CO),左室圧(LVP)および左室圧一次微分値(LV±dp/dt)には有意差はなかったが,再灌流後3時間のCO,LVPおよびLV-dp/dtはFR群がC群に比較して有意に(p<0.05)良好であった.以上より,保存中のpro-inflammatory cytokine産生抑制は,移植後の安定した循環動態を得るための有効な方法であると考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Oshima K, Takeyoshi I, Mohara J, Tsutsumi H, Ishikawa S, Matsumoto K, Morishita Y: "Long-term preservation using a new apparatus combined with suppression of proinflammatory cytokines improves donor heart function following transplantation in a canine model"Journal of Heart and Lung Transplantation. (in press).
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[Publications] 森下靖雄, 大嶋清宏: "臓器保存と臨床工学"Clinical Engineering. 14. 115-118 (2003)