2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌、消化器癌に対する血小板由来増殖因子受容体を分子標的とした治療に関する研究
Project/Area Number |
15591345
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金 隆史 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (80274132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 昭彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (90291484)
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Keywords | 胃癌 / 乳癌 / STI571 / PDGFR / 抗癌剤 / 分子標的 |
Research Abstract |
(目的):STI571(Gleevec)はPDGFRのtyrosine kinaseを阻害することが知られており,胃癌・乳癌細胞のPDGF/PDGFR増殖系に対するSTI571の効果をin vitro, in vivoで検討した.(対象・方法):胃癌細胞株MKN-45,乳癌細胞MDA-MB-231を用いて,in vitro抗腫瘍効果はMTT法,in vivo効果はヌードマウス可移植性腫瘍モデルで検討した.遺伝子発現はウエスタン法・免疫組織染色法,アポトーシスの誘導はTUNEL法で判定した.(結果)胃癌細胞におけるSTI571単独のin vitroの抗腫瘍効果は5μMで軽度に見られたが,5-fluorouracil(5-FU)との併用効果は認められなかった.腫瘍細胞のPDGFR-α,PDGFR-βの発現はみられたが,PDGF-BBの発現は軽度であった.In vivoの効果は,5-FU, paclitaxel(TXL)との併用で抗腫瘍効果の増強を認め,5-FUでは有意の効果増強がみられた(P=0.004).抗腫瘍効果の増強はアポトーシス誘導に一致し,腫瘍細胞におけるPDGF-BB発現,間質系細胞でのPDGFR-βの発現低下,pPDGFR-β活性の減少が認められた.また,腫瘍血管内皮細胞でのCD31の減少を認め,血管新生減少の効果発現への関与が示唆された.乳癌細胞でも同様の機序によりにTXL, docetaxel(TXT)に対する抗腫瘍効果の増強が認められた.(考察):STI571の併用はPDGF-BBを介したautocrine腫瘍増殖抑制と間質系細胞でのparacrine増殖抑制機序がinterstitial fluid pressure(IFP)を減少させ,抗癌剤併用による効果増強に寄与していることが示唆された.
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Research Products
(5 results)