2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄細胞からの肝幹細胞誘導・増殖及び移植に関する研究
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15591362
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
青木 武士 昭和大学, 医学部, 助手 (30317515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 満夫 昭和大学, 医学部, 教授 (70091569)
清水 喜徳 昭和大学, 医学部, 助手 (00276552)
加藤 博久 昭和大学, 医学部, 助手 (10286784)
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Keywords | 細胞移植 / 骨髄細胞 / 肝幹細胞 / 無アルブミンラット |
Research Abstract |
【目的】全肝移植あるいは生体肝移植は、重症肝疾患に対する有効な治療法として確立されつつあるが、未だドナー不足の問題は改善されず、多くの待機患者がその恩恵を受けられずに亡くなられているのが現状である。近年失われた臓器、組織の機能を補助あるいは再生するといった再生医学療法は、この課題を克服できると思われる21世紀に向けた新たな治療戦略として期待されている。最近の報告では、骨髄細胞の多分化能が報告されているが、骨髄細胞を用いた肝細胞分化誘導による肝疾患治療法は未だ確立されておらず、臨床医学面からこれらstem cell等を用いた肝補助・再生療法の技術が望まれている。初年度はNagase analbuminemic rat(NAR)を用いて、骨髄細胞を門脈内へ移植し、骨髄細胞の肝細胞分化誘導の可能性を検討した。本年度は、同モデルにおいて長期観察期間を設定し、血清中アルブミン濃度の変化を検討した。 【方法】Nagase analbuminemic ratsをrecipients、SD ratsをdonorsとして用いた。骨髄細胞移植群:BMT group(n=10):5x10(7)骨髄細胞を門脈内経由で移植。肝細胞移植群:HCT group(n=8):2x10(7)肝細胞(SD rats)を門脈経由で移植。コントロール群;Control group(n=8),:PBSを門脈内へ注入すべての群はFK506を術後3週間連日皮下注(1mg/kg)し、またその後は1週間に2回の投与を行った。なお移植前、移植細胞(骨髄組胞、肝細胞)はPKH26-GL(Sigma, USA)にてラベルされ、移植後2,5,8,12週間後に血中アルブミン濃度を測定。移植後5,8,12週後に犠牲死させ形態学的評価(H-E, immunohistochemistry : albumin)を行った. 【結果】PKH-26GLにてラベルされた移植骨髄細胞は移植2週間後にzonel付近のsinusoid areaに認められ、アルブミン染色(FITC発色)にてアルブミン陽性のPKH-26Glpositive細胞を認めた。移植8週後になると、移植骨髄細胞は一部clusterを形成し、アルブミンに陽性発現していた。移植後、血清中アルブミン濃度はBMT and HCT groupとも移植前に比較し有意に上昇した。HCT groupは移植8週後までにその値は漸減傾向にあったが、BMT groupは移植12週まで徐々に増加する傾向にあった。 【結語】骨髄細胞門脈内移植により移植骨髄細胞の幹細胞分化誘導の可能性が示唆され、先天的遺伝子欠損型肝疾患に対する新たな治療戦略として期待される。
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Research Products
(1 results)