2004 Fiscal Year Annual Research Report
2つの血管新生抑制遺伝子と自殺遺伝子との融合遺伝子による乳癌遺伝子治療効果の増強
Project/Area Number |
15591368
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (10319543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 純司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90145889)
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
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Keywords | Angiogenesis / Endostatin / Angiostatin / Mammry carcinoma / Cancer gene therapy / Elrctrogene transfer / Mouse |
Research Abstract |
【腫瘍増殖抑制実験】 昨年度の実験では、endostatin、angiostatinおよび両者の融合遺伝子を用いて、マウス乳癌モデルに対して癌遺伝子治療を行った結果、endostatinでは抗腫瘍効果が見られたが、angiostatinでは効果がなかった事から、今年度は最も成績の良かったendostatin(pEndo)と自殺遺伝子(pHSVtk/GCV)との複合遺伝子治療を同様のマウス乳癌モデルに対して行った。この実験では腫瘍径が1cm以上に達した場合、遺伝子の腫瘍内の分布を向上させるため、注入量を増加させた。動物の実験期間は8週間で、週1回の割合でElectrogene transferを実施した。 【結果】 経時的な腫瘍体積では、pEndoおよびpHSVtk/GCVで有意な抑制が観察され、両者の複合投与群ではそれぞれの単独群に比較して、更に抑制が観察された。リンパ節や肺への転移においても、これらの群では有意な抑制が観察された。しかしながら、転移においては遺伝子複合による加算的・相乗的効果は示されなかった。血管内皮細胞のマーカーであるvWF抗体を用いた腫瘍組織内の微小血管の定量解析では、pEndoおよび複合投与群(pEndo+pHSVtk/GCV)で有意な減少が、また全ての治療群でDNA合成の有意な抑制並びにアポトーシス細胞の有意な増加が観察された。更に、リンパ管内皮のマーカーのPodoplanin抗体を用いて、腫瘍内リンパ管を解析したところ、pEndoと複合投与群で、癌細胞がリンパ管内侵襲しているリンパ管の数が有意に減少していた。以上、高転移性マウス乳癌モデルに対する血管新生抑制遺伝子を用いた癌遺伝子治療では、endostatinで強い抗腫瘍効果と抗転移作用を発揮し、HSVtk/GCVとの複合投与では更に強い抗腫瘍効果が示されたが、転移についてはその増強作用は見られなかった。
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