2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対するヒト型モノクローナル抗体の臨床応用に向けての基礎的検討
Project/Area Number |
15591376
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
幸田 圭史 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50260477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 英聡 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10344996)
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Keywords | ヒト型モノクローナル抗体 / 大腸癌 / SK-1 / vimentin / radioimmunoscintigraphy |
Research Abstract |
1)純粋なヒト型モノクローナル抗体であるSK1は大腸癌をはじめとし、広く癌組織に発現が認められ、癌におけるその機能としては、大腸癌のin vitroでの運動能を抑制する作用があることをこれまでに報告してきた。SK1の認識抗原のアミノ酸配列は2003年度に解析し、報告した。本研究期間中において大腸癌の組織中の認識抗原(AgSK1)のmRNA量を定量的RT-PCRにより検討した。前段階として、各種の大腸癌細胞株において解析すると、全ての大腸癌細胞株にその発現を認めたのに対し、非上皮性腫瘍細胞株、正常人のリンパ球、非担癌患者の正常大腸粘膜にはそのmRNAの発現量は全く認めないか、極めて少ないことが判明し、免疫染色やWestern blottingの結果を支持する結果となった。新鮮凍結保存された、ここ2年間の大腸癌組織40症例分の解析においてAgSK1は大腸癌組織に比較的特異性が高いが正常大腸粘膜にもその発現が認められること。定量的PCRにおいての解析ではリンパ節転移陽性例において腫瘍部分のAgSK1mRNA量は周辺正常組織に比べて有意に高く腫瘍の悪性度を反映するものと考えられこれを報告した。 2)ヒト型モノクローナル抗体RM1〜RM4について検討を行った。RM1はヒト型IgA抗体でvimentinに類似した32KDaのタンパクを認識する。Hagiwaraらが作成した、やはりvimenntinを認識し既に臨床に使用され報告されているCLN-IgGと認識部位が異なるため、vimentin陽性腫瘍(melanoma, pancreas cancer, neuroblastoma etc.)に対してのcocktail治療に応用されうる可能性がある。RM2,RM3は膵臓癌、悪性黒色腫、および神経芽腫に反応する。RM2は54Kdタンパクを認識し、ヌードマウスに移植した膵臓癌細胞Panc-1の発育を有意に抑制した。RM3は糖タンパクと考えられ、正常組織との反応性はほとんど認められず反応特性は高いが、その認識抗原の機能は不明である。RM4はヒトIgG1型モノクローナル抗体で、乳癌患者のリンパ節から作成した。大腸癌、肺癌にも強く反応するが、調べえた正常組織との反応性は確認できない。ヒト乳癌細胞SK-BR-3のnu/nu mouse皮下移植モデルにおいて125-IをラベルしたRM4抗体のbio-distributionでは48時間後、腫瘍に7-8%/gram程度の残留があり、十分量が腫瘍に到達しているものと考えられた。
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