2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝転移における原発巣および転移巣組織の糖鎖の臨床的意義
Project/Area Number |
15591384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00205361)
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
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Keywords | 大腸癌 / 転移性肝癌 / 転移 / 複合糖質 / レクチン / シアル酸 / 組織化学 / 予後 |
Research Abstract |
細胞には正常細胞にはない糖鎖が発現していることが知られており、とくにシアル酸は癌の転移に関係していると考えられている。本研究では、平成15年度、大腸癌およびその転移における複合糖質糖鎖の臨床的意義を解明する研究の一環として、シアル酸糖鎖を認識するイヌエンジュマメレクチンやニワトコレクチン、各種モノクローナル抗体を用いて、組織化学的および糖鎖生化学的研究を実施した。まず、大腸癌患者85例、大腸癌肝転移患者56例より大腸癌および転移病巣の新鮮切除標本を術中採取し、得られた癌部および非癌部組織におけるシアル酸含有複合糖質の発現を組織化学的に解析した。その結果、ある種のシアル酸含有複合糖質が、癌部組織または転移病巣に異的に発現していることを明らかにした。この複合糖質の発現頻度は患者間で異なっており、その臨床的意義に関しては現在検討中である。一方、このようながん関連複合糖質の生化学的本質を解明するためには、術中摘出された組織から癌細胞と非癌細胞を分別採取する必要がある。そこで、赤外線レーザーを用いて組織切片中の特定細胞のみを採取できるレーザーキャプチチャー・マイクロダイセクションの応用を試み、組織切片から癌細胞と非癌細胞を確実に分別採取するための各種条件を決定した。これまでの一連の研究結果は、大腸癌組織には特徴的な複合糖質が発現しており、しかもその発現が癌の肝行性転移に重要な役割を果たしている可能性を示唆している。今後、この複合糖質の発現と病態との関係を臨床病理学的に解析していくとともに、この複合糖質の本質やその糖鎖構造を糖鎖生化学的手法を駆使して詳細に解析することが重要である。本研究の成果は、癌症例の予後や転移予測などへの臨床応用につながる可能性を十分にもつと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tang Wei, Mafune K, et al.: "Association of histochemical expression of Maackia amurensis leukoagglutinin-positive glycoconjugates with behaviour of human gastric cancer."Histopathology. 42. 239-245 (2003)
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[Publications] Guo Q, Tang Wei, et al.: "An in vitro evaluation of radiation effects of different fractionated regimens by absolute cell count beads."Oncol Rep.. 10. 1405-1410 (2003)
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[Publications] Tang Wei, Miki K, et al.: "Des-gamma-carboxy prothrombin in cancer and non-cancer liver tissue of patients with hepatocellular carcinoma."Int J Oncol.. 22. 969-975 (2003)
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[Publications] Tang Wei, Miki K, et al.: "Des-gamma-carboxy prothrombin in cancer and non-cancer liver tissue of patients with hepatocellular carcinoma."Int J Mod Med.. 12 (Suppl 1). 8-8 (2003)
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[Publications] Tang Wei, Guo Q, et al.: "Histochemical expression of sialoglycoconjugates in carcinoma of the papilla of Vater."Hepato-Gastroenterology. (in press). (2004)
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[Publications] Yuan L, Tang Wei, et al.: "Disruption of pRb-p16INK4 Pathway : A Common Event in Ampullary Carcinoge nesis."Hepato-Gastroenterology. (in press). (2004)
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[Publications] 幕内 雅敏: "食道外科の要点と盲点"文光堂. 380 (2003)