2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝転移における原発巣および転移巣組織の糖鎖の臨床的意義
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15591384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00205361)
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Keywords | 大腸癌 / 転移性肝癌 / 転移 / 複合糖質 / レクチン / シアル酸 / 組織化学 / 予後 |
Research Abstract |
癌細胞には正常細胞にはない糖鎖が発現していることが知られており、とくにシアル酸は癌の転移、癌細胞の増殖や浸潤に関係していると考えられているが、大腸癌における糖鎖の役割はほとんど明らかにされていない。本研究では、大腸癌およびその転移における複合糖質糖鎖の臨床的意義を解明する研究の一環として、まず、平成15年度に引き続き、大腸癌患者および転移性肝癌患者の癌部および非癌部組織を用いたレクチン組織化学的および臨床病理学的解析を行った。その結果、シアル酸結合レクチンであるイヌエンジュマメレクチンやニワトコレクチン認識されるシアル酸含有複合糖質が、癌部組織やリンパ節転移病巣に特異的に発現しており、その異常発現がリンパ節転移や患者の予後に関わっていることが示唆された。つぎに、シアル酸含有糖鎖を抗原の一部とする抗MUC1モノクローナル抗体(KL-6)を用いて、同様の組織化学的および臨床病理学的解析を行った結果、大腸癌部組織および転移性肝癌組織にKL-6ムチンが特異的に発現しており、しかもその細胞内異常分布が大腸癌肝転移と相関していることが示唆された。これらのレクチンやモノクローナル抗体で認識される複合糖質の実体や糖鎖構造は未だ不明であるが、その解明に必要となる試料採取法や生化学的解析法に関して、種々の条件を決定した。本年度の本研究の成果は、大腸癌およびその転移部組織に異常発現しているシアル酸含有複合糖質がリンパ節転移や大腸癌肝転移、また患者の予後と深く関わっていることを強く示唆しており、その発現や実体の解明が、大腸癌肝転移症例における転移や予後の予測、特異的な糖鎖をターゲットとする抗癌剤の開発、新しい腫瘍マーカーの発見に重要と考えられた。
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Research Products
(7 results)