2005 Fiscal Year Annual Research Report
復腔鏡下自律神経温存手術における各種手術デバイスの神経に及ぼす影響と評価法の確立
Project/Area Number |
15591387
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小嶋 一幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60313243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 雅之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60301165)
植竹 宏之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (60311651)
杉原 健一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10171167)
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Keywords | 腹腔鏡下手術 / 自律神経温存手術 / 電気メス / 超音波凝固切開装置 / バイポーラ・メス / 胃癌 / 大腸癌 |
Research Abstract |
神経温存手術を施行しても機能温存を100%に出来ない理由はリンパ節郭清や剥離の際の電気メス使用による熱損傷と考えられる。各種デバイスの正常神経に及ぼす影響:通常のメス、電気メス、超音波凝固切開装置、バイポーラシザーズにより豚の大腿神経を約2cm剥離露出し、神経の温度変化の推移と神経からの剥離距離と温度変化との関係を検討した。【結果】温度は電気メス>超音波凝固切開装置>バイポーラシザーズ>メスの順で、それぞれ平均227,121,69,18(℃)であった。神経温度が100℃以下となる距離は15秒の使用でそれぞれ1,0.5,0.2,0(cm)であった。熱損傷による静的変化:剥離露出後直後に神経の一部を摘出し、一部を凍結保存、一部をホルマリン固定し凍結標本よりcDNAを作成し、熱損傷により誘導されるヒートッショック蛋白(HSP72)のRNAレベルでの発現を検討した。ホルマリン固定標本からS100蛋白染色により神経鞘と軸索の損傷程度を評価した。【結果】HSP72は電気メスで発現を認めたが、その他のデバイスでは発現しなかった。神経鞘と軸索の損傷程度は、それぞれ82,14,0,0(%)であった。各種デバイスの癌組織に及ぼす影響:ホルマリン固定標本を薄切し、HE染色およびTUNEL法により腫瘍内のどの深さまで熱損傷による腫瘍壊死や周辺のアポトーシスが誘導されているかを検討した。【結果】15秒の使用で、それぞれ3,2,0.5,0(mm)の範囲でアポトーシスが誘導されていた。各種デバイスの正常神経機能に及ぼす影響:誘発電位刺激による筋運動の変化:通常のメスによる剥離を行った豚大腿神経を対照として、各種デバイスによる剥離を行った後、大腿神経に電気刺激を加え、その神経伝達速度変化を比較検討した。【結果】電気メスでは刺激が伝導せず、他のデバイスは対照と同等であった。以上より、神経に接して切離する場合もっとも適したデバイスは、バイポーラシザーズであるが、超音波凝固切開装置も5mm離せば同等である。しかしその場合腫瘍のvariabilityが問題となる。手術による出血の回避と神経温存のためには、バイポーラが最適であり、電気メスは神経を温存する場所では使用すべきではない。
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Research Products
(8 results)