2004 Fiscal Year Annual Research Report
正電荷リポソーム包埋ヒトInterferon-β遺伝子を用いた食道癌遺伝子治療
Project/Area Number |
15591397
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小寺 泰弘 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10345879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸村 定昭 (財)応用生化学研究所, 研究部長 (80211233)
中尾 昭公 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70167542)
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Keywords | 食道癌細胞 / 遺伝子治療 / hIFN-β遺伝子 / 正電荷多重膜リポソーム / 遺伝子導入 / 放射線療法 / 抗腫瘍効果 / 併用効果 |
Research Abstract |
われわれはInterferon-βの食道癌に対する抗腫瘍効果、Interferon-βgene包埋リポゾームIAB-1の食道癌に対するin vitro, in vivoでの効果、IAB-1のin vivoでの5FU, S-1との併用効果について検討してきた。今回、IAB-1腫瘍内投与後の腫瘍内Interferon-β量を測定し、さらに、食道癌治療にしばしば用いられる放射線治療とIAB-1の併用効果についてin vivoで検討した。ヒト食道扁平上皮癌の細胞株であるWSSCをヌードマウス皮下に移植し、IAB-1をDNA量として3μg腫瘍内投与する群、Interferon-βを100U腫瘍内投与する群、生食を腫瘍内投与する群(コントロール)各6匹ずつに無作為に分けた。各群3匹ずつを24時間後、48時間後にsacrificeして得られた腫瘍組織を凍結保存し、腫瘍内Interferon-β濃度を測定した。その結果、個体間にばらつきがあったものの、24時間後、48時間後にInterferon-βが測定可能であったのは、IAB-1与例のみであり、in vivoにおけるInterferon-β遺伝子のtransfectionに伴うリポゾームの産生が確認された。次にWSSC皮下腫瘍に対しIAB-1を3μg腫瘍内隔日投与、2Gyの放射線一括照射、IAB-1+放射線照射の併用、コントロール(生食腫瘍内投与)の4群(1群5匹)に分けて治療を行ったところ、IAB-1投与群、照射単独群では明らかな腫瘍増殖抑制効果がみられなかったのに対し、併用群で顕著な抑制効果を認め、3週間にわたって腫瘍の増大を認めなかった。以上、IAB-1はin vitroでは食道癌培養細胞株に対して抗腫瘍効果、5FUとの併用効果を認めるものの、in vivoでの効果は顕著ではなかったが、放射線照射との併用で優れた相乗効果が確認され、臨床応用に向けて重要な知見となった。
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