2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮伸展刺激に着目した肝再生メカニズムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
15591398
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梛野 正人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20237564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二村 雄次 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80126888)
小田 高司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30311715)
新井 利幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (80335041)
西尾 秀樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30345897)
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Keywords | 肝再生 / 門脈枝塞栓術 / 血管内皮 / 持続伸展刺激 / Interleukin-6 / NFκB / インテグリン / 機械受容変換 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は血流による流れ、血圧、伸展などの機械刺激に常時晒されている。経皮経肝門脈枝塞栓術では血流変化に伴い非塞栓葉の門脈は拡張し血管壁は約150%に持続伸展され、肝再生に重要なサイトカインであるIL-6の血中濃度の上昇が認められる。一方、持続伸展刺激は転写因子NF-κBを介して培養血管内皮からのIL-6分泌を促進することが知られている。流れ刺激や周期性伸展刺激の効果に関する報告は多いが、持続伸展刺激に対する血管内皮細胞の応答機構に関する研究は少ない。我々はこれまでの報告に基づき、持続伸展刺激によるIL-6の産生には、integrin/PI3-kinase/phospholipase Cγ/細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)の上昇/protein kinase C/NF-κBというシグナル伝達系が重要ではないかとの仮説を立て、培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を用いた検証実験を行い以下の結果を得た。 (1)NF-κBの活性はインテグリン阻害ペプチド(GRGDNP)、PI3-kinase阻害剤(LY294002)、phospholipase Cγ阻害剤(U73122)、protein kinase C阻害剤(H7)で阻害された。(2)細胞外Ca^<2+>除去(EGTA)、あるいは細胞内Ca^<2+>storeを枯渇させるThapsigargin(TG)ではNF-κBの活性化は阻害されなかったが、EGTA+TGで細胞内外のCa^<2+>を除去するとNF-κBの活性化は阻害された。(3)EGTA+TGでは[Ca^<2+>]_iの上昇は完全に抑制されたが、EGTAまたはTG単独処理では伸展刺激による[Ca^<2+>]_iの上昇を認めた。(4)protein kinaseCの活性はEGTA+TG、GRGDNP、LY294002、U73122で、phospholipase Cγの活性はGRGDNP、LY294002でそれぞれ阻害された。 以上の結果より、血管内皮細胞の持続伸展刺激によりintegrin/PI3-kinase/phospholipase Cγ/[Ca^<2+>]_iの上昇/protein kinaseCのシグナル伝達経路を介しNF-κBが活性化されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)