2004 Fiscal Year Annual Research Report
重症急性膵炎における腸管粘膜上皮のアポトーシスの意義とその対策
Project/Area Number |
15591405
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (80346262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹山 宜典 近畿大学, 医学部, 助教授 (70263374)
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
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Keywords | 重症急性膵炎 / アポトーシス / 腸管上皮 / bacterial translocation |
Research Abstract |
1.Caspase inhibitorの腸管粘膜上皮アポトーシスに対する効果の解析 抗アポトーシス効果が報告されているcaspase inhibitorの効果を検討した。ラット重症急性膵炎モデルにおいて膵炎作製時にcaspase inhibitorを投与すると、腸管粘膜上皮のアポトーシス誘導が抑制され、腸管粘膜上皮の透過性亢進が減少し、bacterial translocation(BT)(血中エンドトキシン濃度、腸間膜リンパ節の細菌培養)および死亡率が改善した。 2.腸管上皮培養細胞を用いての透過性亢進機構およびアポトーシス誘導機構の解析 in vitroの解析として、腸管上皮培養細胞であるcaco2細胞およびT82細胞を用い、ラット重症急性膵炎モデルから採取した膵炎腹水や膵炎血清の添加による細胞間の透過性亢進を二重チャンバー培養系における電気伝導度の増加や蛍光色素の透過性亢進によって確認した。さらに、膵炎腹水を腸管上皮培養細胞に添加することによりアポトーシス誘導を再現した。 3.急性膵炎における至適感染防止対策の策定 昨年度の研究成果で、強力な酸素運搬体で腸管のintegrityや機能保持に有用性が示されているperfluorochemical(PFC)が、上記ラット重症急性膵炎モデルで、酸素化PFCの腹腔内投与により、腸管粘膜上皮の透過性亢進、腸管粘膜上皮のアポトーシス誘導の加速、腸管粘膜構造の破綻と絨毛高の有意な低下、BT(血中エンドトキシン濃度および、腸間膜リンパ節の細菌培養)に対していずれも改善効果を認めた。本年度の検討で効果が認められたcaspase inhibitorとPFCの両治療法を組み合わせることにより、重症急性膵炎の感染予防対策を総合的に策定した。
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Research Products
(6 results)