Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸中 良典 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (00127036)
山岸 久一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40128723)
神山 順 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (20257538)
窪田 健 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助手 (70388180)
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Research Abstract |
胃癌の発症に関してヘリコバクター・ピロリ菌(H.Pylori)感染の関与が指摘されており,その癌化の分子機構としてピロリ菌が有するCagA遺伝子の関与が明らかとなりつつある.そして,この遺伝子産物はピロリ菌産生物質を菌体外へ分泌する装置を構成することが判明している.ところで,ピロリ菌が有する毒素であるVac-A toxinがクロライドチャネルにおいてCl^- ionophoreとして働くことが明らかとなっている.また,最近の研究で経上皮的イオン輸送(transepitherial ion transport)が細胞増殖とか細胞死のような基本的な細胞機能を司ること,とりわけ,細胞内クロライド輸送chloride ion transportが細胞容積を制御して,細胞増殖に関与することが報告されている.そこで,腎上皮細胞を用いてchloride ion transportイオン輸送の制御による細胞増殖とミトコンドリア活性の制御を検討した.すなわち,腎上皮細胞の管腔側に存在するクロライド・チャネルと血管側に存在するNa ;/K;/2Cl- contrasporter(共輸送体)に大して,前者はそのブロッカーであるNPPBを,後者にはブロッカーであるBMTと,Na;/K;/2Cl^- contrasporterの調節薬促進薬reguratorであるquerctinフラボノイドはquercetinを各々,単独,併用で投与して,細胞増殖への関与を検討した.細胞増殖はMTS assay MTT法(NaDからNaDHへの変化を吸光度で測定し,細胞増殖を見る方法)と細胞数の直接カウントで調べ,この結果は学会で発表した(平成16年度の口頭発表1.参照).そしてこれらの解析系における実験の再現性が安定しているのを確認して,現在,この系をヒト胃癌細胞培養株に置き換えた解析系で進めているところである.また現在,この系にピロリ菌が有する毒素であるVac-A toxinを添加して,クロライドチャネルにおいてCl^- ionophoreとして作用するとされる点を解析する予定であり,Vac-A toxinの分離生成を行いつつある.残胃癌の背景に関しては,多くの視点から解析を行っている(学会発表参照)が,今後,これらの研究成果を総合的に評価していくうえで,本研究で得られた知見は,今後の胃癌研究,とりわけ「残胃癌」の研究に大きく寄与すると考えられた.
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