2006 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌・大腸癌の腸管免疫に関与する細胞性免疫担当細胞の病態と機能
Project/Area Number |
15591438
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
村上 三郎 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00240987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 秀人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10255101)
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / IL-2R / IgA / CD3 / 細胞性免疫 / サイトカイン / マクロファージ |
Research Abstract |
胃癌、大腸癌では細胞性免疫が亢進していることを確認するため、癌組織および正常組織における免疫染色を行い、細胞性免疫担当細胞の極在、病態、および機能を検討した。胃癌32症例の手術時に採取された標本の一部を用いて、IL-2R/Tac抗原陽性細胞、さらにはCD3、IgA抗体を用いた免疫組織染色を行った。胃癌組織内および転移性リンパ節における免疫組織染色によって多数のIL-2R/Tac抗原陽性細胞が確認されが、正常粘膜および非転移性リンパ節ではこれを認めなかった。同様の所見が、大腸癌28例においても認められた。以上の研究にて、胃癌、大腸癌において腫瘍内浸潤リンパ球の存在と活性型Tリンパ球の存在が確認された。また、その時行った免疫組織染色で正常粘膜と癌粘膜との間に大きな相違があることが確認された。すなわち、正常粘膜部では上皮細胞間リンパ球(intraepithelial lymphocyte : IEL)がIL-2R/ac抗原で染色された一方で、癌粘膜部ではこれが全く認められなかった。さらに、IgAの免疫染色を行ったところ、正常粘膜部表面に近接して多数のIgAが確認された一方、癌粘膜部ではこのIgAが全く認められなかった。また、CD3の免疫染色を行ったところ、癌部および正常部にかかわらず均一に分布していることが認められた。以上から、癌腫内には活性型Tリンパ球が多数存在するものの、癌粘膜部での上皮細胞間リンパ球は癌細胞によって機能を失い、腸管粘膜としての防御バリアーが完全に破壊されていると思われる。さらに、胃癌患者143例の血中IL-12値を測定したところ、コントロール群に比較し、有意に高値を示した。また、胃癌組織組織について、CD68免疫染色を行ったところ、macrophageの局在が癌部では破綻していることが認められた。大腸癌においても同様の所見を得ることができた。また、CD4陽性細胞は、胃癌・大腸癌ともに正常部では散見されるが、癌部ではこれを確認できなかったことより、helper/inducerT細胞の機能的破綻が想像された。
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