2004 Fiscal Year Annual Research Report
逆流性食道炎における逆流物質の差に注目した食道上皮の形態学的、分子生物学的検討
Project/Area Number |
15591439
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
片田 夏也 北里大学, 医学部, 助手 (30233745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 慈郎 北里大学, 医学部, 助手 (60255338)
黒山 信一 北里大学, 医学部, 助手 (10286297)
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Keywords | 逆流性食道炎 / 食道上皮 / 形態学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
ラットを用いて、胃酸逆流モデル群(幽門輪をネラトンカテーテルでbandingし、前胃部分を結紮することによる胃排出障害モデル)、十二指腸液逆流モデル群(食道十二指腸端側吻合)、コントロール群(単開腹とmanipulation)を作成しそれぞれ1週12週で犠牲死させ食道検体を摘出した。犠牲死の直前に食道内のpHを測定したところ、各モデルで胃または十二指腸液の逆流が確認されモデルの有用性が示された。肉眼的な食道炎の形態を12週で犠牲死させた各群で比較したところ十二指腸液逆流モデルでは隆起性病変を認め過形成を主体としたのに対し、胃酸逆流モデルでは潰瘍性病変を認め上皮の欠損を主体とした。下部食道の検体の組織所見をHE染色で検討したところ、上皮の肥厚、乳頭延長、基底細胞層の肥厚いずれも十二指腸逆流群、胃酸逆流群、コントロール群の順に高値を示した。さらに抗ssDNA抗体を行いて上皮内のアポトーシスを検出し、抗PCNA抗体を用いて細胞増殖能の評価を行ったところ、アポトーシス、細胞増殖共に胃酸逆流モデルより十二指腸液逆流モデルのほうが高度である傾向を認めた。従って、胃酸逆流群よりも十二指腸液逆流群のほうが食道上皮内の細胞回転が早く、結果的にDNA障害を受ける確率が上昇すると考えられた。この慢性的な刺激が食道上皮に加わると、最終的になんらかの遺伝子変異をきたすことにより癌化へと進行する可能性が考えられた。食道上皮の癌化には胃酸の逆流に加えて、十二腸液の逆流が重要である可能性が示唆された。
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