2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓への腸内細菌のBacterial translocationについて
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15591447
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 高明 日本大学, 医学部, 講師 (40233788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 忠利 日本大学, 医学部, 教授 (30280944)
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Keywords | Bacterial translocation / 敗血症 / 消化器外科 / 肝膿瘍 / 胆嚢炎 / 胆管炎 |
Research Abstract |
肝臓の感染の代表的な疾患に肝膿瘍がある。そこで、肝膿瘍症例35例を検討した。成因は細菌性25例、アメーバー性3例、原因不明7例であった。細菌性肝膿瘍を感染経路で検討すると、特発例10例(40%)、胆管炎性8例(32%)、医原性4例(16%)、経門脈性2例(8%)であった。腸内細菌が何らかの経路で肝内に侵入し、病巣を形成したことを示している。 胆嚢炎症例の分離菌を検索した。PTGBD穿刺時の初回分離菌の分離率はEscherichia coli(26.7%)、Klebsiella pneumoniae(22.2%)が最も高かったが、7日以後では両者とも4.0%と低下した(p<0.05)。一方、Enterobacter、Serratia、Citrobacter、Morganellaやブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌の分離率は上昇した(p<0.05)。胆管炎におけるPTCD挿入症例においても同様で、挿入時と7日以後の分離頻度を比較すると前2者は低下し(p<0.05)、後者は上昇した(p<0.05)。分離菌は腸管から経胆管的にtranslocationしたと考えられる。 肝切除術後の感染症を検討した。肝切除症例48例中、切開表層SSI(surgical site infection)は3例(6.3%)、臓器/腔SSIは16例(33.3%)にみられた。16症例から細菌が分離され、初回検体からの分離菌はPseudomonas aeruginosaが7株、Enterococcus faecalisが4株、Staphylococcus coagulase(-)が2株、MRSAが1株であった。各細菌の抗菌薬感受性をみると、抗菌薬を投与する前から耐性を示す株が多かった(Pseudomonas aeruginosa:カルバペネム系抗菌薬を投与しない症例7例において分離菌5株がimipenem耐性であった)。このことは、院内感染菌が起炎菌であることを示す。ドレーン排液中の胆汁濃度を調べると、ビリルビン濃度2mg/dl以上と2mg/dl未満で分けると、前者において感染が多かった(p=0.032)。このことから胆汁を介した感染発症の可能性が高いと考える。
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Research Products
(1 results)