2003 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌、随伴性膵炎におけるLumicanの役割と応用
Project/Area Number |
15591449
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
内藤 善哉 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20237184)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 俊行 日本医科大学, 医学部, 講師 (90203041)
|
Keywords | lumican / pancreatic cancer / proteoglycan / small-leucine-rich proteoglycan / 細胞増殖 |
Research Abstract |
慢性膵炎や膵臓癌周囲の随伴性膵炎組織において、慢性炎症に伴い腺房細胞の変性、壊死や膵管細胞の増生と、線維化が認められる。これら著明な線維化は膵外分泌機能の障害のみならず発癌や癌細胞の浸潤、増殖とも関連し注目されている。Lumicanは小型ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーに属し、コラーゲン線維の重合や配列の調節に重要な役割を果たしているが、細胞増殖との関連は明らかでない。またlumicanは膵臓癌組織において癌細胞周囲の線維化巣に豊富に局在し、癌細胞のみならず癌周囲の随伴性膵炎組織の腺房と膵島細胞がlumicanを産生していることが知られている。Lumicanの細胞増殖への影響を検討するとともに、膵炎組織におけるlumicanの局在とその産生動態について検討を行った。Lumicanのmessenger RNAに特異的に結合し、タンパクへの翻訳を阻害する、morpholino antisense oligonucleotideを作成した。これをlumicanを豊富に産生しているhuman embryonic kidney (HEK)293 cellに導入し細胞増殖動態を検討したところ、lumicanの産生を抑制することにより細胞の増殖が刺激誘導されることが明らかとなった。このことから通常、lumicanは細胞増殖を抑制する方向で働いていると考えられた。さらにアルギニン投与実験ラット膵炎組織においてlumicanの発現量が増加し、間質の線維化巣に局在が認められた。In situ hybridization法によりlumican mRNA発現細胞が膵炎組織の腺房、膵島および線維芽細胞であることが明らかとなった。lumicanの膵炎における直接的作用の検討のためlumicanの組換えタンパクの作成を行っており、これを膵炎動物に投与し組織形態変化などを検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)