2004 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌、随伴性膵炎におけるLumicanの役割と応用
Project/Area Number |
15591449
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
内藤 善哉 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20237184)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 俊行 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90203041)
|
Keywords | lumican / pancreatic cancer / proteoglycan / small-leucine-rich proteoglycan / 細胞増殖 / pancreatitis / carcinoid / neuroendocrine cell carcinoma |
Research Abstract |
小型ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーに属するlumicanは、膠原線維の重合や配列の調節に重要な役割を果たしているが、細胞増殖における役割は明らかでない。Lumicanは膵臓癌組織において癌細胞と癌周囲の随伴性膵炎組織の線維化巣に豊富に局在し、癌細胞のみならず腺房細胞と膵島細胞がlumicanを産生していることを以前に報告した。これらの膵癌組織におけるlumicanの癌細胞の増殖への影響を検討した。Lumicanのmessenger RNAに特異的に結合し、lumicanタンパクへの翻訳を阻害する、morpholino antisense oligonucleotideを作成し、lumicanを豊富に産生しているhuman embryonic kidney (HEK)293cellに導入し細胞増殖動態を検討した。これによりlumicanの産生を抑制することで細胞の増殖が誘導されることが明らかとなり、lumicanは細胞増殖を抑制する方向に働いていると考えられた。さらにlumicanの発現と腫瘍細胞の増殖との関連を、生物学的悪性度の低いカルチノイドと、悪性度の極めて高い神経内分泌癌で比較検討した。増殖が遅く転移が少ないカルチノイドの細胞質内に、神経内分泌癌と比較して高率にlumicanの発現がみられた。一方、細胞外基質に局在するlumicanの発現はカルチノイド、神経内分泌癌ともに差異は認められなかった。このことより腫瘍細胞内で産生され、細胞質内に局在するlumicanが、腫瘍の増殖に重要であり、各種の細胞増殖抑制因子などと関連して細胞増殖の抑制に寄与しているものと考えられた。今後、膵臓癌と随伴性膵炎組織におけるlumicanの役割と治療への応用の可能性を明らかにするためlumicanの組換えタンパクを膵癌細胞や実験膵癌モデルに添加し検討を続ける予定である。
|
Research Products
(3 results)