2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脊髄障害に対する神経幹細胞移植による脊髓再生
Project/Area Number |
15591469
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺田 仁 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80334978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数井 暉久 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20094203)
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
徳山 勤 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90313957)
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Keywords | 虚血性脊髄障害 / 神経幹細胞移植 / 神経再生治療 / ラット対麻痺モデル |
Research Abstract |
【目的】胸腹部大動脈瘤手術後の最大の合併症である下半身対麻痺は術中の脊髄虚血(主としてAdamkiewicz動脈の虚血)により引き起こされる。対麻痺は脳梗塞と同様神経細胞死によって起こり、治療困難とされてきたが、最近になり神経幹細胞移植による神経再生治療が脳神経領域で盛んに行われるようになってきている。我々はこの神経幹細胞移植による治療が、虚血性脊髄障害にも応用できるのではないかと考えた。 徳山・難波はすでに脳虚血、脳腫瘍、およびパーキンソン病の治療を目的として、マウスおよびラットの胎児脳からの神経幹細胞の分離・継代培養に成功しており、本実験では、いまだ行われていない脊髄の虚血に神経幹細胞移植を行い神経機能の評価と組織学的検討を加えることを当初の目的とした。 【方法と結果】従来より脊髄虚血モデルはラビットの腎動脈下腹部大動脈遮断モデルが確実かつ簡便とされてきたが、今回使用する神経幹細胞はラットであるため、まずはラットの脊髄虚血モデルを確立させることを目的とした。まずラットをラビットと同様の腎動脈下腹部大動脈遮断を行ったが、55分の遮断でも対麻痺モデルを作成すること1が不可能であった。その為左開胸して胸部下行大動脈遮断を行ったところ、18分遮断で対麻痺モデルを作成することが出来たが、7日以上生存させることが出来なかった。これは腹部臓器などを低温保護しても結果は同様であった。神経幹細胞移植するにはモデルの長期生存が不可欠であることから、ラットの安定した対麻痺モデルを用いた神経幹細胞移植は断念せざるを得なかった。 【まとめと今後の展望】ラットの対麻痺モデル作成は不可能であった為、今後は確立したラビットの対麻痺モデルを使用することを前提として、そこへラビットの神経幹細胞または骨髄細胞などを移植する方向で実験を継続していきたいと考えている。
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