2004 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮ならびに脳虚血に対する防御機構の解明
Project/Area Number |
15591518
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 秀謙 三重大学, 医学部, 助手 (90345976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 聡 三重大学, 医学部, 講師 (50252367)
滝 和郎 三重大学, 医学部, 教授 (70144368)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / フェリチン / 鉄 / くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / ビリルビン |
Research Abstract |
当初の計画通り,ラットのくも膜下出血モデルを作製し,くも膜下出血後の脳,脳動脈および脳脊髄液中の誘導型ヘム蛋白分解酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1およびその代謝産物,あるいは遊離鉄と結合し無毒化するフェリチンの誘導とその経時的変化を評価した.脳脊髄液中のヘムオキシゲナーゼ-1代謝産物(ビリルビンおよび鉄)およびフェリチン濃度を定量した結果,対照群に比べいずれも有意に高値を示した.さらにビリルビンおよびフェリチン濃度がくも膜下出血後早期より高値となった方が脳血管攣縮は生じにくいことがあきらかになった.一方で,遊離鉄濃度には両群間に有意な差を認めなかった.すなわち,ヘモグロビンがヘムオキシゲナーゼ-1により迅速に代謝され,代謝された結果生じる遊離鉄がフェリチンにより速やかに無毒化されることにより,脳血管攣縮の発生が抑制されたと考えられた.ビリルビンやフェリチンは抗炎症作用を有することから,炎症で誘導されることが知られているテネイシンCを測定したことろ,やはり脳血管攣縮が抑制された群ではテネイシンC濃度は低値を示した.さらに,臨床検体で同様の検討をした結果,これらの結果は臨床例でも同様であることが明らかになった.これらの結果は,ヘムオキシゲナーゼ-1やフェリチンの誘導が脳血管攣縮に対する内因性の防御機構であるとする我々の仮説を支持するものであり,新しい脳血管攣縮の予防法や治療法につながるかも知れない.
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Research Products
(2 results)