2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞急性期のMRIによる脳酸素代謝率の画像化と血栓溶解療法の適応診断技術の開発
Project/Area Number |
15591519
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松田 昌之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎野 顕彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50215935)
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Keywords | 脳梗塞 / 脳酸素代謝 / MRI / BOLD / 血栓溶解療法 |
Research Abstract |
脳虚血時のCMRO_2やOEFは血行再建手術や血栓溶解療法に際して有用な検査である。PETによる酸素代謝の測定は臨床上の制約があり、MR装置による酸素代謝のマッピングができないか検討した。 BOLDはdeoxy Hb濃度の変化を反映するため、理論上脳の酸素代謝の状態を間接的に知ることができるはずである。そこでBOLDと脳循環の各メーターから方程式を解いてCMRO_2のマッピングの可能性を検討した。具体的には、acetazolamide負荷前後にBOLD強調画像、造影剤のbolus injectionによるdynamic susceptibility contrast(DSC)法によるCBFとCBVの定量を行った。 OgawaらのBOLD theoryによると、1/T^*_2=C(1-Y)^β・CBV_v(1【less than or equal】β【less than or equal】2) Fick's lawからCMRO_2=H(1-Y)CBF AcetazolamideあるいはC0_2負荷時のCBF、CBV、T^*_2の関係は ΔT^*_2=ΔT^*_<2ACZ>-ΔT^*_<2rest>=A/ΔCBV_v(ΔCBF/CMRO_2)^β AcetazolamideあるいはCO_2負荷時のCMRO_2に変化はないと仮定すると、CMRO_2=ΔCBF・(A/ΔCBV_v・ΔT^*_2)^1/β ここで、Aは未知の定数。Perfusion MRIによりΔCBFおよびΔCBVを求め、BOLD強調画像からΔT^*_2を求めると脳の相対的なCMRO_2画像が得られる。Aとβは観測値をPETと照合して求めることにより、CMRO_2の定量値が得られる。 左中大脳総脈閉塞患者のPETおよびMR-BOLDにより解析した結果を示す。上段から、EPI(T2WI)、rCMRO_2、MTT、CMRO_2(PET)である。PETの結果から、左中大脳動脈領域のCMRO_2の低下が認められ、同部位にほぼ一致してMTTの延長がみられたまた、MR-BOLDで得られたrCMRO_2マップでは、PETほど明らかではないが、左前頭葉領域のrCMRO_2の低下が認められる。 我々の結果はBOLDを用いてrCMRO_2マップの作成が可能であることが示唆された。しかしながら、acetazolamide負荷により得られるdelta BOLDのS/Nは小さく、症例によっては不可解な結果が得られることもあるため、今後、再現性のよいdelta BOLDが得られる手法を考案する必要がある。
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