2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591524
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
徳永 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40294467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 勲 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70236785)
杉生 憲志 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40325105)
三好 康之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00362997)
小野田 惠介 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20379837)
新郷 哲郎 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50379749)
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Keywords | 神経幹細胞 / 脳虚血 / 細胞移植 / 神経保護 / ニューロンへの分化 / 成体 / 神経栄養因子 / MRI |
Research Abstract |
脳虚血に対して神経回路の再構築や、ニューロンの再生を行うためには、神経移植や神経幹細胞を利用することが大切であると思われる。自家の神経幹細胞を用いた治療を行う場合には、成体由来神経幹細胞が移植ドナーとして有用であるかどうか検討しなければならない。そこで、本年度は、成体神経幹細胞が脳虚血に対して神経保護効果を持つかどうか検討した。 成体Wistarラットの脳室下帯から神経幹細胞を分離培養した。取り出された神経幹細胞は神経塊を形成し、約6ヶ月間継代培養可能であった。また、神経幹細胞を分化させると多分化能(ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト)を有していた。この細胞を1ヶ月培養した段階で、Wistarラットの一過性中大脳動脈閉塞モデル作成1時間後に、脳梗塞境界領域の大脳皮質に成体神経幹細胞移植を行った。コントロールとして、成体線維芽細胞およびvehicleを用いた。 移植1週間後のMRIで、神経幹細胞を移植した部位の周辺における梗塞巣の大きさは、コントロール群と比べて有意に減少し、その効果は1ヶ月後も持続していた。行動学的にも神経幹細胞移植群は有意にstroke scaleなどの改善を認めた。組織学的には移植した周囲に宿主ニューロンが生存し、移植した細胞はほとんどがgliaに分化したが、一部はニューロンに分化していた。 興味あることに、予備実験ではあるが、胎仔由来より成体由来神経幹細胞を用いた移植の方が有意に脳梗塞巣の改善を認めた。この原因として神経幹細胞から産生される神経栄養因子などの量の違いが考えられる。現段階では、GDNFやBDNFには胎仔と成体では変化がないが、erythropoietinの産生量には違いを認めている。 本年度の研究により、成体神経幹細胞は脳虚血に対して神経保護効果を有することが示し、この細胞は脳虚血急性期に対して有効なドナー細胞となりうると考えられる。
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Research Products
(2 results)