2004 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病に対する神経幹細胞を用いた細胞移植に関する研究
Project/Area Number |
15591525
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉生 憲志 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40325105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 勲 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70236785)
徳永 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40294467)
三好 康之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00362997)
小野田 惠介 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20379837)
新郷 哲郎 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50379749)
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Keywords | 神経幹細胞 / パーキンソン病 / 細胞移植 / ドパミン / ニューロンへの分化 / 成体 / 神経保護 |
Research Abstract |
神経幹細胞を分化させずにパーキンソン病モデル動物の線条体に移植しても、ほとんどドパミンニューロンへ分化できないという大きな問題点がある。それを解決するために、我々は、マウスの神経幹細胞からチロシン水酸化酵素誘導因子を用いて、ドパミンニューロンを大量に分化誘導できることを示した。本年度は、生体由来神経幹細胞がパーキンソン病モデル動物に対して神経保護効果を持つかどうか検討した。 成体ラットの脳室下帯から神経幹細胞を分離培養した。取り出された神経幹細胞は神経塊を形成し、約6ヶ月間継代培養可能で、多分化能(ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト)を有していた。線条体内6-OHDA注入パーキンソン病モデルラットの作製前6日に、成体由来神経幹細胞を同側線条体内に移植した。対照群として、胎仔由来神経幹細胞、成体由来線維芽細胞およびvehicleを移植した。行動学的評価としてapomorphine誘発回転運動テストを移植1ヶ月間にわたり行ったが、幹細胞移植群は有意に回転運動の減少を示し、特に移植3週以降では、胎仔由来に比べて成体由来神経幹細胞が有意に減少を示した。組織学的には、黒質および線条体内のドパミンニューロンは神経幹細胞移植により有意に生存していたが、胎仔と成体由来では有意な生存を示さなかった。神経幹細胞からはさまざまな神経栄養因子やサイトカインを産生している。これまで、GDNF, BDNF, Nt-3,Galectin-1,erythropoietinなどを産生していることをELISAにて証明した。産生量は微量であるがこれらのカクテルによりドパミンニューロンに対して神経保護効果を示したと考えられる。 本年度は、成体由来神経幹細胞はパーキンソン病モデル動物に対して神経保護効果を有することを示した。これは、成体由来神経幹細胞はパーキンソン病に対して移植ドナー細胞として有用であると思われる。
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Research Products
(3 results)