2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591530
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大上 史朗 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70213626)
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Keywords | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 血管平滑筋 / ラット |
Research Abstract |
1.くも膜下出血モデル(ラット自家血大槽内注入モデル)の作成 ラットを用いたくも膜下出血モデルは、主に血管内穿孔モデルが用いられてきたが、このモデルでは、くも膜下出血の程度は安定しないため、新たに自家血大槽内注入法によるくも膜下出血モデルを作成した。すなわち、ラットの大腿動脈より自家血0.5mlを採取し、大槽内へ注入することによりくも膜下出血を作成した。さらに、自家血を1回だけ注入する1回出血モデルと48時間の間隔をあけ2回注入する2回出血モデルを作成し、比較検討した。 2.ラット自家血大槽内注入モデルの血管攣縮の評価 血管攣縮は、組織学的な血管径の面積を測定し、評価した。その結果、1回出血モデルでは攣縮の程度は軽度であり、7日目にはほぼ出血前の血管径面積に回復していた。一方、2回出血モデルでは5日目に中等度の収縮を認め、7日目には狭小化が持続していた。 3.ラット自家血大槽内注入モデルの血管平滑筋細胞死の確認 本モデルにおける血管平滑筋細胞死の有無を確認するために、PARP (Poly-ADP-ribose Polymerase)のWestern blottingとTunnel染色を行った。その結果、1回出血モデルでは、PARPのバンドの分離はなく、Tunnel染色も陰性であった。一方、2回出血モデルでは、7日目にPARPは分離を起こし、85KDaのバンドが出現した。さらに、同時期のTunnel染色でも、血管平滑筋細胞の一部に陽性所見を認めた。 以上の結果より、ラット自家血大槽内2回注入法により、血管平滑筋壊死をきたす、よりヒト脳血管攣縮に近似したくも膜下出血モデルを確立した。来年度は、このモデルを使用し、細胞死の機序を明らかにするために、細胞死関連蛋白の変化についての研究を行う予定である。
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