2003 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍に対する腫瘍特異的ヘルペスウィルスベクターを用いた遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
15591535
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (30359963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
河内 正人 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (70178218)
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Keywords | 遺伝子治療 / ヘルペスウィルスベクター / 悪性脳腫瘍 / HSV1yCD / 5-FC / 5-FU / cytosine deaminase / oncolytic virus |
Research Abstract |
われわれの開発した腫瘍特異的ヘルペスベクターは、HSV1yCDと命名しているが、このベクターは、腫瘍特異的に感染でき、感染した細胞でcytosine deaminaseという酵素を産生できることは、既に確認していた。 まず、我々はこの産生されたcytosine deaminaseが、生物学的活性があるかを、フローサイトメトリーにおいて検討した。cytosine deaminaseは、5-FCという非細胞障害性の物質を5-FUという細胞複製を阻害する物質に変換できる酵素である。つまりこの酵素を発現している細胞に対して5-FCを投与すると、その近傍の細胞は、変換された5-FUに暴露され複製阻害を受ける。この効果を利用して、腫瘍細胞を局所的な高濃度の5-FUに暴露するということが我々の目的である。われわれの開発したHSV1yCDというヘルペスウィルスのベクターを腫瘍細胞に感染させ、その培養液中に5-FCを投与し、24時間後の培養液を回収し、その培養液中のウィルスを不活化した後に、その培養液を新たな腫瘍細胞に投与したところ、腫瘍細胞は5-FUを投与した状態と同じような複製阻害が認められた(この状態はフローサイトメトリーでS期停止)。この結果HSV1yCDは、5-FCを5-FUに変換できていることが証明された。また、現在進行中であるが、この変換高率をラジオアイソトープを使用することによって算出しているが、かなり効率よく変換できている結果が得られている。今後はこの結果を用いて動物実験を行う予定にしているが、投与するウィルスのタイター、5-FCの濃度などの条件検討は既に終了しつつある。また動物実験モデルとしての脳腫瘍細胞はグリオザルコーマの9LとグリオーマのC6という細胞を使う予定であるが、この腫瘍細胞のラットでの発育などの条件も十分検討が終了した段階である。 これらの実験を踏まえて、15年度は準備段階としての条件検討が大部分であり、16年度に実際の動物実験による抗腫瘍効果を検討し、実際の臨床応用へのステップにしたいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamada K. et al.: "Stereotactic biopsy for multifocal, diffuse, and deep-seated brain tumors using Leksell's system"J Glin Neurosci.. 11(3). 263-267 (2004)
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[Publications] Kamiryo T. et al.: "Correlation between promoter hypermethylation of the O6-methylguanine-deoxyribonucleic acid methyltransferase gene and prognosis in patients with high-grade astrocytic tumors treated with surgery, radiotherapy, and 1-(4-amino-2-methyl-5-pyrimidinyl)methyl-3-(2-chloroethyl)-3-nitrosourea-based chemotherapy"Neurosurgery. 54(2). 349-357 (2004)
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[Publications] Shinojima N.et al.: "Prognostic value of epidermal growth factor receptor in patients with glioblastoma multiforme"Cancer Res.. 63(20). 6962-6970 (2003)
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[Publications] Tada K.et al.: "Preliminary observations on genetic alterations in pilocytic astrocytomas associated with neurofibromatosis 1"Neuro-oncol.. 5(4). 228-234 (2003)
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[Publications] Kochi M.et al.: "Successful treatment of intracranial nongerminomatous malignant germ cell tumors by administering neoadjuvant chemotherapy and radiotherapy before excision of residual tumors"J Neurosurg.. 99(1). 104-114 (2003)
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[Publications] Ushio Y.et al.: "Correlation of molecular genetic analysis of p53, MDM2, p16, PTEN, and EGFR and survival of patients with anaplastic astrocytoma and glioblastoma"Front Biosci.. 1(8). 281-288 (2003)