2004 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍に対する腫瘍特異的ヘルペスウィルスベクターを用いた遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
15591535
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (30359963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
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Keywords | 遺伝子治療 / ヘルペスウィルスベクター / 悪性脳腫瘍 / HSV1yCD / 5-FC / 5-FU / cytosine deaminase / oncolytic virus |
Research Abstract |
われわれの開発した腫瘍特異的ヘルペスベクターは、HSV1yCDと命名しているが、このベクターは、正常脳の中に浸潤している腫瘍細胞まで選択し感染できると考えている。悪性脳腫瘍の新しい治療法としての実験的データを集積させ、将来的な臨床応用へのステップとすることが目的であった。平成15年度までに我々はこのHSV1yCDというヘルペスベクターが感染した腫瘍細胞で産生されたcytosine deaminaseが、生物学的活性があり、5-FCを効率よく5-FUに変換し抗腫瘍効果を示すことを確認していた。16年度においてわれわれは、いろいろな腫瘍細胞を用いて抗腫瘍効果の違いを検討し、腫瘍細胞の種類によらず、あらゆる腫瘍細胞に同様な結果を示すことを確認した。動物実験の際に投与するウィルスのタイター、投与する5-FCの濃度などの条件検討をおこなったが、ヒト腫瘍細胞とラット腫瘍細胞では感染効率が違うためにラットグリオザルコーマの9LとラットグリオーマのC6という細胞では、ヒト腫瘍細胞より高い濃度のベクターが必要となった。ラットの脳に9L, C6のグリオーマ細胞を植え込み、腫瘍が発育できることを確認した。腫瘍細胞のラット脳内おける発育速度を検討し、植え込む腫瘍細胞の濃度が常に同じになるように腫瘍細胞の調整方法を検討し確立した。これらの実験を踏まえて、9L、C6の細胞をラットの脳に植え込み、ある程度腫瘍が発育した状態でHSV1yCDを投与し、この動物実験モデルで腫瘍の浸潤の抑制、ラットの生存期間などをコントロール群と比較した。その結果、HSV1yCDは効率よく腫瘍細胞を選択的に感染破壊した。コントロールとしては、野生株のHSV F strainをもちいたが、このベクターは正常細胞にもかなりの確立で感染し破壊するのに対して、HSV1yCDベクターにおいては正常細胞への感染破壊の効率を極端に低下させることが出来た。今後これらのデータを集積して、結果をまとめ発表したいと考えている。
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Research Products
(6 results)