2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591544
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三島 一彦 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00282640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90237678)
松谷 雅生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90010454)
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Keywords | グリオーマ / MAPK / 浸潤 / EGFR |
Research Abstract |
ヒト悪性グリオーマでのRas-MAPKの亢進を明らかにするとともに、Ras-MAPKシグナル伝達系が、グリオーマ細胞の運動/浸潤能制御因子として腫瘍細胞浸潤に直接寄与するかを検討し、悪性グリオーマの治療標的となりうるかを明らかにすることを目的とした。平成15年度は1)手術摘出したグリオーマ組織で悪性度に相関し,活性型MAPKの亢進が認められること.2)HA-tagをもつconstitutively active MAPK kinase (MEK) cDNAと、コントロールとしてwild-type MEK (wt MEK) cDNAを、pcDNA3発現ベクターにサブクローニング後、グリオーマ細胞株LN-Z308に遺伝子導入し、Constitutively active MEK、wt MEKそれぞれの発現の高いクローンを複数個得、恒常的にMAPK活性が亢進したグリオーマ細胞株を樹立した。3)樹立した細胞株をヌードマウス脳内に移植し脳腫瘍を形成させるin vivo脳腫瘍モデルを用いて、MAPK活性が腫瘍浸潤能に与える影響を、HE染色による病理組織検索にて検討した。Constitutively active MEKを発現する腫瘍組織では周囲脳への浸潤亢進がみられたが.wt MEK発現腫瘍では腫瘍細胞浸潤はみられなかった.以上3点を明らかとした。 平成16年度は、上述により形成された腫瘍内移植細胞が、conmstitutively active MEKを発現して入ることを確認し、脳内での浸潤動態をより明らかにするため、anti-HA antibodyを用いた免疫組織染色法を行なった。その結果、ヒト悪性グリオーマ腫瘍組織で見られるように、血管周囲、くも膜下腔にMAPKが亢進したグリオーマ細胞が浸潤している様子が明らかとなった。次に、EGFR発現LN-Z308細胞にdominant negative (DN) MEKを遺伝子導入し、MAPKの活性が抑制されたクローンを複数得、ヌードマウス脳内に移植し、ΔEGFR発現によってもたらされる腫瘍浸潤能が抑制されるかを検討した。その結果、DN-MEK発現ΔEGFR腫瘍では、周囲脳への浸潤が抑制される傾向にあった。 以上の結果より、ヒト悪性グリオーマではMAPKが亢進しており,MAPKの亢進はグリオーマの浸潤に深く関与する可能性が示唆された.
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