2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する各種神経栄養因子発現ベクター導入後の組織学的評価及び運動機能解析
Project/Area Number |
15591571
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Research Institution | UNIVERSITY OF FUKUI |
Principal Investigator |
内田 研造 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60273009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 久敏 福井大学, 医学部, 教授 (00165060)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経栄養因子 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
脊髄圧迫損傷マウス(twy/twy)を用いて、非侵襲的な方法としてadenovirus vectorを筋肉内に注入することで、脊髄前角細胞内にBDNF遺伝子を導入することを企図した。Twyマウス、ICRマウス共に、C1-C3に分布する左脊髄副神経内側核に陽性細胞が確認され、BDNF抗体ではtwyマウス、ICRマウス共に灰白質、特に前角細胞、また介在ニューロンが染色された。特に最大圧迫部、尾側部の前角ニューロンの染色性はAdV-LacZ群に比べ、AdV-BDNF群では有意に高かった。Niss1染色、ChATによる免疫染色、AChE染色においても同様の結果であり、コントロール群に比べAdV-BDNF群では有意にその染色性は強かった。Niss1染色、ChAT免疫染色、AChE染色いずれにおいても最大圧迫部位において有意に陽性細胞数は多かった。この導入方法は、筋肉内から軸索流にのり、逆行性に前角細胞へ直接輸送する方法で、損傷脊髄に非侵襲的であり、免疫反応を最大限に抑制することができることやapoptosis助長効果がないことが報告されている。慢性圧迫に伴う軸索流の障害により、導入効率が低下することが危惧されたが、adenovirusが強力なretrograde tracerとして働き、細胞感染を生じさせたものと推察される。本研究においては、上位頚髄前角細胞に分布する胸骨乳突筋をtarget organに設定したが、損傷部位に応じたtaget organの選択も可能であることは大きな利点のひとつと考えられる。障害脊髄周囲でのcholinergic enzymes(ChAT、AChE)の活性上昇は、細胞生存の指標として重要であり、特に運動機能と相関があるとされている。細胞死の抑制、cholinergic enzymes活性上昇、長期間の神経栄養因子補充など、頚髄前角細胞に対して非常に有益な効果をもたらしていた。
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Research Products
(2 results)