2005 Fiscal Year Annual Research Report
Adiposcienceの観点からのステロイド性骨壊死の病態解析と予防法開発
Project/Area Number |
15591587
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 卓明 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20336035)
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Keywords | 骨壊死 / ステロイド / 予防法 / 大腿骨頭 / 脂質代謝 / 凝固異常 / 脆弱性骨折 / 病理組織 |
Research Abstract |
1 骨壊死動物モデルを用いたステロイド性骨壊死の各種予防実験に成功 ステロイド単独投与家兎骨壊死モデルを用い、高脂血症剤で現在、最も頻用されているスタチン製剤を用いた骨壊死予防実験を行った。スタチンを投与していない群の骨発生率が70%(12/30)であったのに対し、本薬剤を投与した群では37%(13/35)と有意に骨壊死発生率の低下を認めた。さらに、血液データではコレステロール、LDLはともにスタチン投与群で有意に低下していた。 加えて、抗凝固剤及び抗高脂血症剤を併用投与した群(WP群,n=21)、抗凝固剤のみを投与した群(WA群,n=21)、抗高脂血症剤のみを投与した群(PR群,n=29)、予防薬投与なしの群(NP群,n=20)を作成し予防実験を行なったところ、骨壊死発生率は、予防薬を投与していないNP群が70%(14/20羽)、WP群は5%(1/21羽)と有意に発生率が低下していた。予防薬を単剤のみ投与したWA群及びPR群の骨壊死発生率はそれぞれ33%(7/21羽)、37%(11/29)で、NP群に比べれば有意に低下していた。 本動物モデルでの実験により、ステロイド投与による脂質代謝異常や凝固異常を制御することは、ステロイド性大腿骨頭壊死の発生予防の一助となる可能性が示唆された。本実験系における、具体的な骨壊死発生の抑制機序はまだ解明されていないが、凝固を抑制することに加え、抗高脂血症剤の薬理作用である抗酸化作用、高脂血症抑制、動脈硬化抑制などの関与が考えられた。 2 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折と急速破壊型股関節症の関連の提唱 大腿骨頭壊死症と鑑別を要する疾患の一つとして、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折が提唱されている。我々は、本骨折の臨床病理学特徴を報告し、骨壊死との鑑別に有用な臨床および画像所見を提唱した。加えて、急速破壊型股関節症の早期には、MRIにて大腿骨頭側のみならず臼蓋側にも本骨折が起こっている所見が認められており、これが誘因となり急速な股関節破壊を来す可能性があることを報告した。 本骨折概念の啓発により、鑑別がしっかりとなされた大腿骨頭壊死症の病因病態を解析することに加え、これまで病因が不明であった各種股関節疾患の病態の解明にも有意義であると考えられる。
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Research Products
(7 results)