2004 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチの骨吸収における骨芽細胞・破骨細胞間の相互作用-細胞動態、活性化、蛋白分解酵素の発現に果たす役割
Project/Area Number |
15591598
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉田 昌明 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80210722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
菅野 祐幸 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (40252663)
田島 克己 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80236520)
宇月 美和 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50305992)
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Keywords | 関節リウマチ / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / in situ hybridization / matrix metalloproteinase / TNF-α |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)の関節破壊部に存在するリウマチ性肉芽組織、骨芽細胞、破骨細胞に焦点をおき、DNAプローブを用いてin situ hybridizationによるMMPs, TIMPs, ODF, RANK, IL-18 mRNA発現細胞の同定とその分布をみた。リウマチ性肉芽組織ではコラーゲナーゼ群(MMP-1,-8,-13)やストロメライシン群(MMP-3)mRNAの発現は弱く、むしろゼラチナーゼ群(MMP-2,-9)とTIMP-2 mRNAの発現が強かった。さらに関節破壊部では軟骨細胞、破骨細胞、骨芽細胞内においても強いMMP-2,-9,TIMP-2 mRNAの発現が観察された。ODF mRNAはリウマチ性肉芽組織内や骨梁に沿って分布する単核細胞(osteocalcin mRNA陽性)、さらに骨吸収部にみられる多核巨細胞(TRAP陽性)に広範囲かつ強陽性に発現していた。一方、RANK mRNAはODF mRNAと比較し陽性細胞は限定されており、弱〜中等度陽性の発現であった。さらにこれらは免疫組織化学染色においても同様な結果が得られた。RAの病期による比較では優位差は認められなかったが、著明な関節吸収を伴うムチランス型関節炎では破骨細胞、骨芽細胞におけるMMP-2,MMP-9,TIMP-2,ODF mRNA陽性細胞の比率が統計学的に優位に高かった。臨床で用いられている各炎症のマーカー(血清CRP, MMP-3,赤沈値)とMMP-3,MMP-2,MMP-9,TIMP-2 mRNA陽性細胞数と高い相関があるのが確認された。培養系を用いた検討では、RA骨芽細胞と破骨細胞は無刺激下でもすでにMMP-2,-9を強く発現しており、さらにTNF-α刺激により発現が増強された。平成17年度の検討ではさらに症例数を増やし培養細胞にRA滑膜細胞の培養液、サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6)、抗サイトカイン抗体を添加し、蛋白分解酵素の産生と細胞動態の変化について検討する予定である。
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