2004 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板変性の機序解明とその治療法開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15591601
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80179952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 官成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60236180)
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Keywords | 椎間板 / 髄核 / 線維輪 / 変性 / 細胞外基質 / TIMP-3 / アグリカン / コラーゲン |
Research Abstract |
昨年に引き続き、髄核内に終生脊索細胞が残存すると報告されている家兎を用いて、脊索細胞が椎間板の恒常性維持に果たしている役割について検討を行った。 家兎の髄核組織を用い、液性因子として、TGF-β1およびIL-1βの脊索性髄核に対する影響を検討したところ、TGF-β1はTIMP-3の発現を濃度依存性に増加させ、一方IL-1βは、TIMP-3の発現には影響を与えず、MMPの発現を増強させることを遺伝子レベルで確認した。 TIMP-3の免疫組織学的検討では、脊索性髄核において加齢と伴にTIMP-3の発現が低下することをタンパクレベルで確認した。またrhTIMP-3はtype2 collagenおよびアグリカンといった基質の遺伝子発現を維持することを確認した。 一方、アグリカンの分解を担うADAMTS4の発現を年代の異なる脊索性髄核において遺伝子レベルで確認した。脊索性髄核において、ADAMTS4のinhibitorであるTIMP-3の発現が加齢に伴い減少し、かつその発現がTGF-β1によって制御されていることを我々は既に報告している。したがって加齢におけるTGF-β1の発現低下に伴いTIMP-3の発現も低下し、それらによって基質合成能が低下すること、またMMP/TIMP-3,およびADAMTS4/TIMP-3の比率が分解系優位に傾くことで、椎間板恒常性維持のメカニズムに破綻が生じ、椎間板変性の初期の病態が発生することが推察された。 これらの研究成果の一部は第51回米国整形外科基礎学会(Orthopaedic Research Society),第17回日本軟骨代謝学会,第19回日本整形外科学会基礎学術集会などにおいて発表した. こうした増殖因子を含めた液性因子の投与が椎間板変性抑制の治療に応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)