2003 Fiscal Year Annual Research Report
成熟損傷脊髄におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化とその誘導
Project/Area Number |
15591604
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 東海大学, 医学部, 講師 (40220925)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / Nkx 2.2 |
Research Abstract |
圧挫損傷による白質脱髄モデルを作成し、胎生期オリゴデンドロサイト前駆細胞の分化制御因子のひとつであるNkx2.2と、成熟脊髄圧挫損傷におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞分化との関連性を検討した。 深麻酔下にラットの第6/7頚椎を椎弓切除し脊髄を露出させ、35gの重錘を5分間静置することにより、圧挫滅による脱髄を作製した.損傷作成後2,7,14,28日に深麻酔下に潅流固定を行い、損傷部脊髄を摘出後、厚さ10μmの凍結切片を作成して、Nkx2.2とオリゴデンドロサイト前駆細胞のマーカーであるNG2、成熟オリゴデンドロサイトのマーカーGST-Ypの蛍光二重免疫染色を行った。オリゴデンドロサイト前駆細胞と成熟オリゴデンドロサイトのそれぞれにおけるNkx2.2強発現の細胞の割合を、脊髄後索を脱髄部と非脱髄部に分け、経時的変化を観察した。得られた蛍光顕微画像は直接コンピューターに取り込み、蛍光強度によるNkx2.2陽性の判定とまたミエリンの染色により脱髄の範囲を決定し、評価した.過去に報告した化学的脱髄モデルでは、脱髄作製後増殖したオリゴデンドロサイト前駆細胞にNkx2.2の高発現が認められ、それらはその後成熟オリゴデンドロサイトへ分化した.しかしながら、現在までのところ、今回の庄挫損傷モデルでは増殖したオリゴデンドロサイト前駆細胞において有意なNkx2.2発現の増加は不明である。今後、さらなる標本数の蓄積と統計学的処理により、脊髄圧挫損傷におけるオリゴデンドロサイトの分化の障害にNkx2.2が関わっているのか否かを明確にしたい.
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