2006 Fiscal Year Annual Research Report
成熟損傷脊髄におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化とその誘導
Project/Area Number |
15591604
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 東海大学, 医学部, 助教授 (40220925)
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Keywords | 外傷性脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 顆粒球コロニー刺激因子 / stem cell factor(SCF) |
Research Abstract |
【目的】我々はこれまでの研究で、脱髄後に再髄鞘形成が認められる多発性硬化症に即した化学的脱髄モデルと、有意な再髄鞘形成が見られない外傷性脊髄損傷に即した庄挫滅脱髄モデルを比較検討することにより、外傷性脊髄損傷における内在性神経幹細胞の分化誘導と、脊髄再生阻害因子の調査を行ってきた。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は骨髄細胞の誘導、分化増殖を促し、stem cell factor(SCF)は神経幹細胞の増殖や神経保護作用を持つことが報告されている。今回我々はG-CSF,SCFの投与にて末梢血中に動員された骨髄由来細胞が脊髄損傷における微小環境で神経系細胞に分化誘導を行う可能性について検討を行った。 【方法】GFP陽性骨髄細胞を移植したマウスの胸髄圧挫損傷を作製した。SCF群(SCF+G-CSF)、G-CSF群(G-CSF)、PBS群の投与群に分け損傷11日後から10日間皮下注射にて投与し、損傷28日後に組織学的評価を行った。損傷12週後までBBB scaleで運動機能を評価した。 【結果・考察】運動機能(BBB)は損傷直後から28日目までは同様の改善傾向を示したが,28日目以降に徐々に差を認め12週後にはSCF群(19.5)においでG-CSF群(14),PBS群(9.5)と比べ有意な改善を認めた。組織学的評価では、G-CSF群,SCF群の一部にGFP、NG2共に陽性を示す細胞を認め,オリゴデンドロサイト前駆細胞への分化を示したが,GFAP陽性細胞と共に陽性を示す細胞は認めなかった。また明らかなGFP陽性の神経細胞も認めなかった。以上より、SCFとG-CSFの投与により骨髄由来や内在性のオリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖が活性化している可能性が示唆され、外傷性脊髄損傷の治療に有用である可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)