2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症性疾患続発性の骨粗鬆症発症における細胞周期関与の解明
Project/Area Number |
15591608
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
清水 建詞 産業医科大学, 医学部, 助手 (60299617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
成澤 研一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (20269062)
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90248576)
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Keywords | p21 / 細胞周期 / 関節炎 / 骨塩量 / 骨粗鬆症 / 卵巣摘出 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチなど全身性炎症疾患に合併する続発性骨粗鬆症には破骨細胞性骨吸収の亢進が原因と考えられている。今実験の目的はp21蛋白(細胞周期を静止期にとどめる)過剰発現マウスに関節炎を起こし骨量の変化を観察することで、p21の過剰発現により関節炎続発骨粗鬆症を制御し得るか否かである。 実験(1)の目的を関節炎マウスの骨量減少はp21蛋白を過剰発現させることで防止できるか否かを明らかにすることとし、osteocalcin遺伝子にp21遺伝子を導入したC57BL/6Jマウス(以下(+/-))と、その同腹のwild-typeマウス(以下(-/-))に関節炎用カクテルを用いて関節炎を発症させ4週後に両脛骨を摘出、骨塩量測定を行った。(結果1)(-/-)では関節炎を発症させていないcontrolの骨塩量が35.8mg/cm2に対し関節炎を発症したarthritisが34.5と低下していた。しかし、(+/-)においてもcontrol 36.2に対しarthritis 34.5と低下していた。また部位に分けて検討した結果、骨幹部ではそれぞれに差は見られず脛骨近位部では骨全体と同様の結果となった。 そこで、他の骨吸収亢進モデルを用いてp21蛋白過剰発現の効果を観察するため、実験(2)の目的を卵巣摘出(以下OVX)マウスにp21蛋白を過剰発現させると骨量が維持されるか否かを明らかにすることとした。(結果2)Sham手術を施し4週経過した(-/-)大腿骨骨幹端の骨塩量は43.2mg/cm2に対し、OVX(-/-)では41.5と低下していた。また、sham(+/-)の43.2がOVX(+/-)では41.0となっており、(-/-)と同様に骨量の低下が観察された。 今回用いた動物は分化した骨芽細胞でp21蛋白を高発現しているが、このp21蛋白は破骨細胞の分化や骨の代謝回転に影響しないものと考えられた。
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