2004 Fiscal Year Annual Research Report
気象変化による慢性痛増強のメカニズムの解明-交感神経依存性疼痛との関連性-
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15591623
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 純 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00235350)
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Keywords | 疼痛 / 気圧低下 / 気温低下 / 自律神経 / 気象 |
Research Abstract |
1、昨年の研究成果を受けて、日常体験する程度の寒冷、低気圧環境が慢性痛モデル(坐骨神経損傷ラット)の自律神経パラメータに与える影響を調べた。坐骨神経損傷により,SDラットの安静時の平均血圧,心拍数は術後4〜11日に明らかに上昇した。一方,副交感神経活動の指標である心拍間隔変動値(高周波パワースペクトラム)は術後15日以降に上昇した。よって,坐骨神経損傷により,術後早期には交感神経優位,その後は副交感神経優位の自律神経バランスになることが分かった。曝露実験は環境シミュレータを用い、低気圧曝露では気圧を大気圧から27hPa減圧した。低温曝露では室温を22℃から15℃まで冷却した。術前ラットでは低気圧曝露により心拍数と血圧は一過性に上昇した。また,低温曝露により血圧・心拍数は徐々に上昇した。どちらも曝露後はすみやかに術前値にもどった。術後4-19日目において低気圧曝露,低温曝露の効果を繰り返し調べたところ,一部のラットにおいて,低気圧曝露により平均血圧と心拍が減少した。低温曝露の効果は術後においても両パラメータを上昇させるものであった。慢性痛病態は自律神経系のストレス反応を変化させる可能性が高いと思われる。術後日数による反応の違いについては現在解析中である。 2、昨年の研究成果を受けて,気圧検出器官が内耳に存在する可能性を脊髄神経損傷ラットを用いて検証した。一側の脊髄神経結紮術を腰髄4レベルで行い慢性神経痛ラットを作成した。両側の中耳腔に鼓膜を介して砒素を注入し前庭破壊を施した。後肢足底に圧刺激を与え逃避行動を観察した。環境シミュレータ内でラットを低気圧(大気圧より27hPa減圧)、に曝露した。低気圧曝露は、神経痛群でみられた痛覚過敏行動を増強したが、この効果は前庭破壊によって消失した。以上の結果は坐骨神経損傷ラットを用いた昨年結果と同様であった。気圧センサーが内耳器官に存在する可能性を別の慢性痛モデル動物でも再現した。
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Research Products
(3 results)