2003 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン共鳴を利用した揮発性麻酔薬とタンパク質との特異的結合定数の測定
Project/Area Number |
15591626
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
難波 恒久 京都大学, 医学研究科, 助手 (30283609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝広 京都大学, 医学研究科, 助手 (40303812)
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Keywords | ルシフェラーゼ / ATP / 揮発性麻酔薬 / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
揮発性麻酔薬は種々の酵素やイオンチャネルに作用しその活性を修飾する。最近のこの作用はタンパク質に対する直接作用だという説のほか、依然として100年以上前にMayerとOvertonが主張したようにタンパク質の溶媒である脂質二重膜に溶解することによる間接作用だという説も根強く残っている。我々はこれまでKチャネルの麻酔薬による抑制の分子メカニズムを研究してきた。Kチャネルの変異体を解析することにより麻酔薬の作用部位を同定し、蛋白に対する直接作用だという証拠を見いだすに至った。本研究ではさらに麻酔薬と蛋白との直接の結合を示すことを目的としている。 本年度は揮発性麻酔薬の蛋白への直接結合を表面プラズモン共鳴によって示すための前段階として揮発性麻酔薬によって顕著に抑制されることが示されている可溶性の蛋白であるホタルのルシフェラーゼをクローニングして大腸菌に発現させ、ハロタンによる酵素活性の変化を調べた。Promegaによるルシフェラーゼ基質にクローニングしたルシフェラーゼを作用させると、基質の濃度依存性に発光し、この発光はハロタンで抑制された。抑制のIC50は4.4±0.5mMであった。 この値はすでに報告されているホタルルシフェラーゼのハロタンによる抑制のIC50値である0.26mMの20倍であり、このシステムでは実質的に抑制が観察されないことになる。本実験では、大腸菌の素精製ルシフェラーゼを用いており、ハロタン結合物質の存在などが影響している可能性がある。またルシフェラーゼ基質にMg・ATPが含まれており、この量が過剰なため抑制が観察されない可能性がある。今後、精製ルシフェラーゼを用いた抑制実験、ATPを含まないルシフェラーゼ基質を用いた抑制実験などでクローニングしたルシフェラーゼのハロタン感受性を検討したい。
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Research Products
(1 results)