2004 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド受容体を介する脳虚血耐性様効果の獲得に関する研究
Project/Area Number |
15591634
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
松本 美志也 山口大学, 医学部, 助教授 (60243664)
石田 和慶 山口大学, 医学部, 助手 (80314813)
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Keywords | 虚血耐性様現象 / スナネズミ / モルヒネ / オピオイド受容体 / 海馬 / 脳虚血 / 神経細胞傷害 / HE染色 |
Research Abstract |
【目的】短時間脳虚血による虚血耐性様現象におけるオピオイド受容体の関与を解明することを目的とし、ナロキソンの前投与で短時間脳虚血負荷による虚血耐性効果の低下を確認した(15年度)。今年度は、この結果に基づき、(1)ナロキソン投与量の減量による虚血耐性効果の変化、および(2)オピオイド受容体アゴニスト投与による虚血性神経細胞傷害の修飾を観察した。 【方法】スナネズミ雄の両側頸動脈閉塞モデルを用いた。イソフルラン1%、亜酸化窒素70%麻酔下に両側総頸動脈を2分間ないし5分間遮断した。 NXcontrol群:ナロキソン3mg/kg投与後sham手術、7日後灌流固定 NX群:ナロキソン0.03mg/kg(前年度のナロキソン投与量の100分の1)投与10分後2分間虚血3日再灌流+5分間虚血7日再灌流固定 M群:モルヒネ100μg投与10分後2分間虚血3日再灌流+5分間虚血7日再灌流固定 (いずれも試薬は外頸静脈から投与) 再灌流後7日後にホルマリン液で脳標本を灌流固定し摘出した。 虚血侵襲による海馬での神経細胞障害を、HE染色により組織学的に評価した。 【結果】NXcontrol群では、神経細胞傷害はほとんど認められなかった。NX群では海馬CA1全体からCA2にかけて核濃縮および一部空胞化を伴った神経細胞傷害を認めた。M群では、NX群とほぼ同様に海馬CA1全体からCA2にかけて神経細胞傷害が強く認められた。 【考察】前年度確認した虚血耐性を拮抗する量のナロキソン(3mg/kg)は海馬神経細胞傷害をおこさなかった。0.03mg/kgのナロキソンは3mg/kgでみられたと同様の虚血耐性現象修飾効果を示した。モルヒネの前投与で虚血耐性効果の増強は認められず、むしろ抑制した。モルヒネはμ受容体作用が強いことから、虚血耐性効果の発現にはオピオイド受容体のκないしδ受容体が関係している可能性が示唆された。
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