2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血の病態進展におけるコラーゲン分解酵素とアストロサイトの関与
Project/Area Number |
15591635
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 和慶 山口大学, 医学部, 助手 (80314813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 由行 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20206676)
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
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Keywords | 中大脳動脈閉塞 / 脂肪塞栓 / 脳浮腫 / アストロサイト / アクアポリン4 / GFAP / 血液脳関門 |
Research Abstract |
脳虚血モデルおよび脳脂肪塞栓モデルで,脳浮腫の発現およびアストロサイト,水チャネルアクアポリン4 (AQP4)の経時的変化を検討した。 【方法】:Wistar ratを用いた.麻酔薬はイソフルランを用い,側頭筋温は37℃,PaCO_2は調節呼吸下38〜42mmHgとした. MCAO群(n=12):モノフィラメント糸による中大脳動脈閉塞を2時間行った. Triolein群:右外頚動脈断端から総頚動脈分岐部にカテーテルを留置し、99% triolein 2μLを5分かけて注入.それぞれ2時間(2時間群n=12),24時間(24時間群n=12),72時間(72時間群n=12)観察した. 対照群(n=7):生理食塩水2μLを同様に注入し2時間観察した. 各群で脳を摘出し(n=7)、それぞれの群で左右の皮質・皮質下および小脳の水分量を乾燥重量法で測定した.各群(n=5)でHE染色およびAQP4,Glial fibrillary acidic protein(GFAP)染色をおこなった. 【結果】:脳水分量はtriolein注入2時間,24時間,72時間群で対照およびMCAO群と比べて著明に増加した.2時間群では頭頂部を中心とした同側皮質と海馬また一部対側皮質において胞体の膨化及び核濃縮、空胞変性がみられた.皮質下では傷害はごく軽度だった。時間経過とともに傷害は拡大し細胞浸潤を伴った壊死性変化を示した。MCAO群では虚血領域で核濃縮のみを認めた。AQP4の染色性は傷害中心部で低下、周辺部で亢進し、72時間後まで継続した.GFAP染色性は2時間群では傷害部周辺で軽度亢進し,経時的にGFAP反応性は増大し24時間では樹状突起の延長、72時間では肥満星状膠細胞やmitosisがみられた。 MCAO群ではGFAPに軽度の反応性がみられたが、AQP4染色性に変化はなかった。 【考察】:Trioleinによるラット脳脂肪塞栓モデルでは、局所脳虚血モデルに比べて2時間という短時間で著明な脳浮腫が形成され、AQP4の変化も著しい.このことは脂肪塞栓モデルでは早期に血液脳関門が強く破綻していることを示唆すると考えられる.今後これらのモデルにおけるmatrix metalloproteinaseの発現とbasal laminaの経時的な変化を検討していくよていである.
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