2003 Fiscal Year Annual Research Report
心保護効果における細胞膜とミトコンドリアのATP感受性Kチャネルの相互作用
Project/Area Number |
15591636
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大下 修造 徳島大学, 医学部, 教授 (60144945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋 豊 徳島大学, 医学部, 教授 (50136222)
富山 芳信 徳島大学, 医学部, 講師 (30243702)
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Keywords | 先行虚血 / 心筋保護効果 / パッチクランプ法 / Kチャネル / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ラットの単一心筋における細胞膜およびミトコンドリアATP感受性Kチャネル(KATP)活性をそれぞれパッチクランプ法(Cell-attached法で開口率を測定)および蛍光法(フラボプロテイン自家蛍光測定)により記録し、ミトコンドリアKATPと細胞膜KATP活性の相互作用を検討した。単一心筋細胞を15分間虚血した群(control群)と、15分間虚血前に5分間虚血、10分間再灌流した群(先行虚血群)のKATP活性を比較検討した。単一心筋細胞の虚血モデルとしてATP合成阻害剤である2,4-dinitrophenol(DNP)を使用した。Bath溶液で標本を灌流し、定常状態になった点をbaseline値とした。得られた結果はmean±SDで表示し、統計学的検定はANOVAおよびSheffe F testを用い、p<0.05を有意差ありとした。 (1)細胞膜KATP活性:control群では15分虚血後にKATP活性がbaseline値に比較して75±12%増加したのに対して、先行虚血群では145±50%(n=10,P<0.05vs. control)増加した。 (2)ミトコンドリアKATP活性:control群では15分虚血後にKATP活性がbaseline値に比較して188±45%増加したのに対して、先行虚血群では252±51%(n=12,p<0.05vs. control)増加した。 (3)細胞膜KATPおよびミトコンドリアKATPの先行虚血によるチャネル活性の増加は両者とも100μM 5-hydroxydecanoic acid(ミトコンドリアKATP阻害剤)によりほぼ完全に棄却された(n=10)。 以上の結果により、先行虚血の心筋保護効果は先行した虚血による刺激が、それに引き続いた虚血時に活性を増強するという細胞膜およびミトコンドリアKATPの特性が関与し、特にミトコンドリアKATP活性がその相互作用に重要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)