2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591640
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
冨安 志郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90244061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 拓治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10336167)
趙 成三 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90325655)
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Keywords | 酸化ストレス / 抗酸化酵素 / グルタレドキシン / Akt |
Research Abstract |
(1)H9c2細胞における過酸化水素(H_2O_2)刺激による細胞障害についての解析 H9c2細胞はH_2O_2により細胞障害を受けることがすでに見出されている。この細胞障害におけるアポトーシスの関与について検討した。H_2O_2(100μM)を投与されたコントロール細胞(H9c2-Vector)では位相差顕微鏡により細胞の縮小が観察され、MTT cell viability assayによりミトコンドリアの活性低下を認めた。また、TUNEL法によりDNA fragmentationの増加が示された。一方、グルタレドキシン(GRX)過剰発現細胞株(H9c2-GRX)では、同様のH_2O_2投与により上記のような細胞障害を認めなかった。このことから、GRX高発現によりH9c2細胞はH_2O_2によるアポトーシスから保護されていることが明らかとなった。 (2)GRXによる抗アポトーシス効果におけるAktシグナルの関与 上記のH_2O_2投与下におけるAkt signaling pathwayの関与について検討をおこなった。H_2O_2投与後、H9c2-VectorではAktは一過性にリン酸化を受けるが直ちに脱リン酸化され、その後分解を受けた。一方、H9c2-GRXではAktのリン酸化が遷延し分解も生じなかった。Aktの脱リン酸化を触媒するとされるProtein phosphatase 2A (PP2A)の関与について調べたところ、H9c2-VectorではAktの脱リン酸化に一致してAkt-PP2A間の相互作用が増強していることが明らかとなった。今後、GRXによるAkt活性化維持の分子機構についてさらに検討するとともにAkt以外の標的分子を検索していく予定である。
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