2003 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経細胞に対する局所麻酔薬とテトロドトキシンの毒性の違い
Project/Area Number |
15591643
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
笠羽 敏治 宮崎大学, 医学部, 助教授 (80145599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成尾 浩明 宮崎大学, 医学部, 助手 (10274797)
濱川 俊朗 宮崎大学, 医学部, 講師 (50253836)
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Keywords | 水棲かたつむり / 培養細胞 / 局所麻酔薬 / リドカイン / テトロドトキシン / 細胞内ナトリウム |
Research Abstract |
局所麻酔薬の毒性機序を明らかにすることを目的に、本年度の研究実施計画に基づいて、当教室で飼育している水棲かたつむりの中枢神経細胞を培養し、次の2つの実験を行った。 1)培養中枢神経細胞に対するテトロドトキシンの作用 方法:水棲かたつむりの中枢神経細胞を条件培養液中にて培養した。16〜24時間後には、神経突起を伸ばしその先端には成長円錐をが認められた。CCDカメラで30分ごとに1秒間観察記録し、成長発達の経過をデータレコーダに保存した。ディッシュ内のテトロドトキシン濃度を1、10、100、500μMの濃度になるようにし観察した。 結果:テトロドトキシンは、細胞の興奮を抑える濃度の100μMでも、成長に変化がなかった。500μMまで濃度を増加させても、破壊は認められなかった。 2)培養中枢神経細胞に対する、テトロドトキシンおよび局所麻酔薬の細胞内ナトリウム濃度への影響 方法:1と同様に中枢神経細胞を培養した。ディッシュ内に1mMのSBFI(acetoxymethyl ester of sodium-binding benzofuran isophthalate)を加え、60分間放置してからwash-outした。ディッシュ内にリドカインまたはテトロドトキシンを加え、細胞内ナトリウム濃度の変化を測定した。SBFIによる蛍光は、340/390nmの光を与え510nmの励起光を測定することで細胞内ナトリウム濃度を測定した。 結果:テトロドトキシンは、細胞内ナトリウム濃度を上昇させなかったが、リドカインは、細胞内ナトリウム濃度を上昇させた。 以上のことから、テトロドトキシンやリドカインは、ナトリウムチャネルブロックで細胞は破壊されず、リドカインは、ナトリウムチャネルブロックの作用の他に、細胞内ナトリウム濃度を上昇させる作用があることが明らかになった。 本年度購入した機器は細胞吸引を容易にし、実験の効率化に寄与している。リドカインによるナトリウム電流も測定し、なぜ細胞内ナトリウム濃度が上昇するのかを明らかにし、テトロドトキシンとの違いを解明する実験を続けたい。
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